古い洋館、遺産相続争い、座敷童の伝説……これで何も起きないはずがなく

いやーーーーーー面白かった!!隅から隅まで楽しませていただきました!
これから読む人は、自力で推理しながら物語を追っていくことをお勧めします。
しっかり手がかりを拾って推理すれば、きっちり真相に辿り着くことができますよ!

まず、古い洋館という舞台が最高に良い。ひたすら広いし、いろんな設備があって、何らかのトリックを行うにも最適の場と言えましょう。
重厚な空気感が肌に触れるような描写も素晴らしいです。この家に伝わるという、助産師の技や歴史がまた闇深い。
そんな家の当主の遺産を巡って一族が集結するわけですので、そりゃあもう大変な何かが起きるだろうと予想できるわけですが、予想以上に凄かった。
遠野地方の座敷童伝説にも触れた上で、殺人の起きる直前に必ず聞こえる歌がなんとも不気味。
一人、また一人と退場するたび、遺産の絡んだ一族内部の諍いは緊張感を増していく……

王道的な設定ではありますが、主人公であるミステリ作家・飯田先生の軽妙洒脱な語り口で、スマートで現代的な印象の作品になっています。
愛憎と、欲望と、脈々と受け継がれる因習と。
隠されていた真相とはいったい何なのか。
これだけの凄惨な連続殺人でありながら、犯人の事情を含め、ものすごく納得感のある顛末でありました。
ぜひぜひラストまで行き着いてください。そして深い余韻に浸ってください。
素晴らしい本格ミステリでした。本当に面白かったです!

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