終末

終末

 真っ暗になり、肌に触れる空気はひんやりと冷たい。

 私は饅頭頭の家やネズミの家を過ぎ、“呪いの区域”に入ってしまった。

 ――将ちゃん、東雲さん、助けて。

 とはいえ、二人はもう、裏にピッタリ付いてくる真っ黒いロボットによって、天へ送られてしまった。

 脚はもうパンパンで、ロボットはもう、すぐそこまで迫っている。


「ワレラノ栄華ダ……ウハハ、ワレラノ栄華ダ……」


 大きな機械音が、夜の山中にぼわわん、と不気味に広がる。


 ガシッ


 左肩を掴まれた。

 私は、もう振り払えなかった。

 片腕が、首に巻き付いた。

 胸が苦しい。血液が回らない。


「オッツ」


 実に淡白に言い放たれたその一言で、私の意識は真っ黒い洞窟の奥深くまで落っこちていく。

 ――将ちゃんごめん、せっかく、救ってもらった命を。

 最後に見たのは、火事でもあったのか、一点だけ木の禿げた山だった。




(完)

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まむしの呪う十三日 DITinoue(上楽竜文) @ditinoue555

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