自分も世界も人間も憎んでいる系の元王女、困窮した村を救ってみる。

主人公の元王女は何もかもが嫌いだ。

自分を追い出した祖国も嫌いだし、そんな事をされた自分も嫌いだし、そんな事をした国民も嫌い、とにかく世界の全てが嫌い。

だけど一人だけ信頼している相手がいる。
国を追われて以来、自分を守り続けてくれる元騎士である師匠の男だ。

二人は放浪の旅の途中で困窮した村を訪れることになるが、その村はとある大問題を抱えていて――。


見所はやはり、主人公の元王女と師匠の元騎士の関係性ですね。

この世に絶望した系女子な主人公が、大人の男な師匠に見守られながら成長していく物語なんですが。

ラブラブな恋人とは違うんですよね。

言い争いになれば、感情丸出しで師匠に言葉をぶつける主人公に対して、師匠はなんなく受け流しつつも、気遣ってやる優しさをチラリと見せる、みたいな。

なので、全てが嫌いでツンツンしっぱなしの主人公も、師匠にだけはちょっぴり心を開いちゃうわけです。

兄妹のような、あるいは戦友のような微妙な距離感なのが尊い感じですねえ。


もう一つの見所は、血まみれな泥臭いバトル。

この作者さんの十八番でもあるんですが、バトルがとにかく血なまぐさい。
女の子主人公なのに、バトルシーンに可憐さなんてゼロ。
格好良いというよりも、生々しい、泥臭い、という感想が先にくる。

でもこれが、『この世の全てを憎んでる主人公』にめっちゃマッチしてるんですよ。
まるでそんな憎悪を敵にぶつけるがごとく、戦うからです。
血なまぐさい戦場は、彼女の抱く世界観そのものと言えるかもしれません。
そう、彼女にとってこの世界とは、醜い肉塊同士が相争う地獄でしかないのです。

そんな彼女が、人々の善意に触れてどう変わっていくのか?
ぜひ、皆様の目でお確かめください。

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