概要
人無き世界で、愛を。
島に雪が降った。この島に来て、初めて見る雪だ。寒い冬の季節は、生きるか死ぬかの僕たちにとって嬉しいものではない。もうすぐ互いの死は近付いてきているのではないだろうか。そんな不安を感じた時、リリアがしがみつくように僕の腕に抱きついてきた。「ほ、ほら。寒いでしょ。お互い、生き残るため、ただそれだけのため。変な勘違いはしないでよ」とすこし震えた口調で。僕は思わず笑ってしまって、不安が薄らぐのを感じた。ふたりで良かった。そしてそれが彼女で良かった、と初めて思った。僕は意を決して、いままで聞けなかったことを聞いてみる。「そろそろ、本当の名前、教えてくれないかな」(※こんな本文は存在しません)
※橘紀里さんの企画『(まだ)存在しない物語の後日談または番外編』に寄せて書きました。
※橘紀里さんの企画『(まだ)存在しない物語の後日談または番外編』に寄せて書きました。
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