第2話 おバカな俺に彼女は……
つまり高校三年卒業までは、結構
彼女はおじさんの商売を手伝うからと言って、俺や竜一と離れ、ゆかりは調理師の専門学校へ行ったはず。つまり、竜一でさえ、卒業後に一回会ったくらいで、忘れていた。
内見会でやばい記憶が蘇り、ふと髪を流す仕草で彼女を思い出すとは。
彼女も、公立を受験時に某ウィルスに感染して落ちた口。
あの頃は、流行はじめで、隔離されたんだよ。
だから、他の子達とは少し話が合わないようで距離を置いていた。
俺はすぐ染まってしまったが、暴走する奴らからは距離を置いた。
比較的竜一は、正義の男で悪さをしなかった。
「おきゃくさん。――好平」
彼女がこちらを覗き込む。
「ああ。ごめん。ちょっと昔の事を思い出して」
「思いだしてないじゃん」
何かをぼそっと言った後、切り替えるようにアピールを始めた。
「――さあて、ダイニングと小さなキッチン。標準的な六畳となっています。そして奥に収納付きの六畳二間」
そう言って彼女は、ドアを開け放つ。
「まあ、子供でも出来ない限りは充分です。個室はやっぱり必要だし。ただお風呂が小さいんだよね」
ダイニングを、クルクルしながら説明してくれる。
「如何でしょうか?」
「いや二部屋は、要らないかな?」
そう言うと、彼女の眉間に皺が寄る。
「必要です」
「なんで?」
サクッと切ってみる。
そう言うと、彼女はむうーという感じで腕を組み、人に向かっておっぱいアピールをしているのだと俺が気づいた後、彼女は宣言する。
「内見会します?」
「はっ? 今してますよね」
「いやいや。奥様シリーズ」
「えっ」
「いい加減、気がつけよ」
そう言って、抱きついてきた。
「えっえっ」
「まだ、わかんないの? これだからこーへーは」
「あっ。やっぱり翔子か。でも龍神て結婚したのか?」
「流石にそれなら案内出す。おじさんの商売手伝うって言っただろう」
「そう言えば。そうか、大人ぽくなって高校の時より綺麗になったから判らなかったよ。そうか久しぶり」
彼女は、俺がそう言うと顔を被ったまま座り込む。
座り込んだ彼女の耳は真っ赤になっている。
「不意打ち。昔からもう……」
そうして彼女は立ち上がり、ビシッと指をさし聞いてくる。
「お客様。卒業の時私が言った質問は、どうなりましたでしょうか? よもやお忘れとかではありませんよね」
あれは卒業の時。教室を出るときに聞かれた質問。
「あんた達っていっつも一緒に居るから、聞けなかったのよ」
彼女は少しお怒りで、だけど、少し顔を寄せ聞いてきた。
「就職と進学、距離も離れるし会う機会は減ると思う。でも、それでも良いから付き合ってほしいの。すきよ」
「えっまじ」
おもわず、大きな声を出し、周りの喧噪が止まる。
それにより、翔子は教室を飛び出し、なんとその日会えなかった。
そして、彼女の連絡先を俺は知らなかった。
大抵、竜一に連絡して遊びに行く。
するとゆかりと翔子がやって来た。
彼女達からすると、全く逆で竜一を呼ぶと俺がくっ付いてくる。
その関係のため、卒業後。プチッと糸が切れた。
彼女は恥ずかしさのあまり、教室から逃げ出したことを後悔したらしい。
そして、何とか仕事をして日々を暮らしていると電話。
名前を聞き、最初は足がぷるぷるで焦ったそうだ。
一応出先から直帰という事にして、俺だった場合。お持ち帰り上等で来たらしい。
そして、多少変わっても三年程度。彼女は俺を認識できたが、俺の方は、髪型が変わって化粧をして、眉まで形が変わると別人という答えを脳が出した。龍神不動産だったし。
なぜか、お互いヤンキー座りで向かい合い。彼女の両手を握りしめて話をしている。いや彼女が転びそうになったから、手を掴んだら離してくれなくなった。
「それで、どうなのよ。思っていたのは私だけなの?」
「うん。良いよ。今誰も付き合っていないし」
彼女は鋭い。
「――今誰も?」
「ああと。ちょっとだけだから。ほら、君に会えず辛かったから。人恋しくて」
「どのくらい?」
「半年」
「浮気じゃん。私が答え待っている間に。ひどいよぉ」
おおっと、これはいけない。今言った言葉を、大きなショックで塗りつぶそう。
その時の僕は卑怯だった、前の彼女と喧嘩したとき、エッチをすれば機嫌が良くなった。
抱きしめ、図らずもおとなの内見会を行使した。
いや、お持ち帰り上等って言っていたし。
その後、今住んでいるうちへ連れて帰ったら家捜しされた。
高校の時には知らなかったが、以外と嫉妬深いらしい。
自業自得だが、最近、真夜中の内見会が義務となっている。
「いや、若くても、男には限界が」
「だめ。絞り尽くす……」
KAC20242 俺は再会した。内見会はどきわく。 久遠 れんり @recmiya
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