真実へと手を伸ばす。大切な人との未来のために。

雪が降ると当日の記憶を失う、そんな冬の帳村の施設で暮らしている少女・新奈。そんな彼女のルームメイトで、大切な存在である沙羅。二人の近しい友人の湊。彼女たちを中心にして物語は進みます。彼女たちにとっては日常である児童養護施設での、ちょっと不思議な生活や習慣、村の人々との関わり合いなどが、精緻な文章で描き出されていきます。

雪が降っても記憶を失わない新奈の孤独感は強く、深い。しかしそこに寄り添おうとする温かい心も傍にあります。それらは絶望の中にあって、決して消えない光のように個々の胸に灯り続けるのです。

次第に明らかになっていく施設の真実。新たに湧き上がる疑問。それらを新奈たちが追うごとに、スケールが大きくなっていく闇。
彼女たちは必死に手を伸ばします。自分を信じて、大切な人を救うために、手と手を取り合って。

新たな世界へと踏み出そうとする彼女たちの奮闘を、どうぞ見守ってみてください。

お薦めします(^^)!

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