しんしんと染み渡る切なさと美しい希望に、心が揺れ感動しました……!

 最初から最後の一文まで、非常に繊細でうつくしい文章で綴られています。主人公新奈が抱える強い孤独は、美しい雪の描写と合わさって切なく表現されており、読者の一人として胸が痛みました。情景描写はもちろん、登場人物の心情も、読者の奥深くに染み渡る表現となっております。読み易く、それでいて息を呑むような美しい文章が続きます。

 深海かやさまの柔らかく繊細な筆致が物語の造形をより深くし、鮮明な映像となって読者の脳裏に伝えていきます。雪の粒、色彩や明度、そういった細かな視点も優しく明確に伝わってきます。「雪忘花」というタイトルの意味も神秘的で美しく、物語を読み進めていくごとに、作品をとても大切されている作者さまの想いを感じました。一言では表せられない、とても素敵で素晴らしい作品です。最後はほろりと涙しながら、その感動を胸いっぱいに抱きしめました。この作品に出会えたこと、深海かやさまという素晴らしい作家さまに出逢えたことを心の底から嬉しく思います。

 重く切ない中にも、希望を感じられる温かい物語です。ぜひたくさんの方に、きらりとした美しい雪解けの瞬間を味わっていただきたいです……! 心に響く、心に残る名場面や名台詞が随所に光っています。余韻のある爽やかな読後感は、私たち読者一人ひとりに光を与えてくれることでしょう。

 新奈たちみんなの幸せをこれからも願っています。深海かやさま、胸が優しく温まる素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございました……! 

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