主人公ユウは影薄し。言葉通りに存在が薄い(人に認識されにくい)のですが、友人と呼べる者もいて、それなりに学校生活を送っています。なので暗い感じにはならず、ただ存在が薄い普通の男の子、という感じです。
彼の両親がまた面白いのです。息子を無視してガンガン話を進めていく両親ではありますが、ちゃんと愛は感じます。
この基盤があってこそのユウの冒険。黄緑色の鳥になってしまっている勇者のパートナー・トリオルースを人間の姿に戻すべく、長期休暇を冒険に充てることになるのです。
旅の途中で出会う、勇者にそっくりな短槍使いのお姉さん。富豪の娘の筈なのに謎すぎるお嬢様。三人と一羽の旅路で、ユウの中で疑問に思うことが増えてきます。表面に見えているものではない何かを感じ取り、得体の知れない不安も感じるようになる…。でも若い男子らしく可愛らしい女の子にドキドキし、仲間との友情も育みながら、しっかりと真実に向かっていこうとする姿には好感が持てます。
ユウが年齢的に子供であるということ、そして見守る大人がいるということを、優しい目線で描かれているところにも胸を打たれます。
ミステリー要素が強めですが、彼らのやり取りを見ているだけでも充分楽しませてくれますよ!
ユウたちの旅が、どんな結末を迎えるのか。
ぜひ、彼らの旅を見守ってみてください(^^)!
おとなしくて目立たない、本当に目立たない、下手をすると存在を忘れられてしまうほど影が薄い主人公のユウ君。小さな村でちょっと変わったご両親に育てられた普通の子。そんな彼が冷蔵庫に入っていた巨大な薄緑色の卵を見つけてしまったところから物語は始まる……
確かに一見するとタイトル通り「ありふれた物語」です。村のモブ少年が仲間達と変な鳥とともにある目的のために旅をするお話です。
しかし張り巡らされた伏線の数々は……これはもうミステリー作品のように完璧に計算され尽くして、最後まで出来上がっているとしか思えません。キャラクターの性格設定や言動まで計算して作り上げられていることでしょう。
その最たるものが主人公のユウ君、本当に普通の人です。御大層な目的があるわけでもなく流されるように旅に出させられ、鍛錬を積んで成長するでもなく、何かの力に目覚めるでもない、どこまでも一般人らしい行動理念の普通の子。でもそれこそが物語の鍵になるらしいという絶妙なキャラ設定、もう何もかにもが伏線に見えてきてしまいます(笑
でも全体として緩い雰囲気、個性ある仲間達との軽妙な掛け合い、恋愛未満のちょっとした憧れ、でもやっぱり自分からは何もしない、何も起きない、ありふれたようでありふれていない物語。ふんわりライトでミステリーなこの作品、ぜひご一読ください。
この作品にぴったりのイメージイラストが掲載されていますので、ご参考までに。
https://kakuyomu.jp/users/nitosawa/news/16818093073617279524
周りが変だから、それを反面教師にして主人公は純朴な少年になるのか。
純朴は、そんな変わり者になぶられる素質なのか――。
魔王が倒された平和な世界。
いや、倒されたんだから平和でなくっちゃいけないんです。
だけど、親が変なモノ(卵)を拾ったばかりに、そうも言っていられない。
現代なら「せっかくの夏休みなんだし、ちょっと冒険でも?」くらいのテンションのナゾ理由で、少年は冒険へ送り出されちゃいます。
そう! 世界が平和であろうと、心の平穏は変な人たちによって乱されていくのです!
それだけならまだしも、道中、なにやらありそうな女性もメンバーに加わります。
ケンカするほど仲がいい騒がしい鳥と美人短槍使い。
結果的に純朴を誘惑している感じの女の子。
乗り気じゃない冒険は、いつしかドキドキワクワクの大冒険(?)となっていきます。
親をはじめ、変なキャラ達に揉まれながら、純朴少年はどう成長していくのか!?
そんな冒険ストーリーです!
コメディタッチの楽しい文章。
思わず、クスっとしてしまうようなキャラたちの会話。
主人公が純朴だからこそ、周りのキャラが引き立ちます。
是非、楽しんでみてください!
すでに魔王が倒されてしばらくたった平和な世界。
そこを旅することになったのはモブっぽい村人少年+かつての英雄のなれの果てな鳥さん+かつての勇者っぽい姿をした槍使いのお姉さん+胡散臭いお嬢様。
彼らが軽妙な掛け合いを振りまきながらの、ドタバタ珍道中、といったお話しです。
『ありふれた物語』というタイトルには表の意味と、裏の意味があったりします。
表の意味は、世界設定。
平和な世界で大きな事件などは起こらない、一般モブ村人少年の物語である、という意味での『ありふれた』です。
裏の意味は。
徹底して非テンプレに徹して、流行にも乗らない、独自路線を突っ走るという意味での、『ありふれてない』という皮肉が込められてるように思えます。
主人公の少年が旅にでる経緯にしても、いかにも物語らしいロマン溢れる壮大な動機があったりするわけでもなく、ほんとにゆる~い、けどリアルな動機で出発することになったり、という。
冒険物語のお約束を徹底的にわざと外して、モブ少年がとってもモブらしい一般人として行動するところに、この作品の醍醐味があります。
そんなわけで、派手な冒険活劇、というより、モブ少年がどこまでもモブらしく行動する、ゆるゆる旅行といった雰囲気が心地良い作品。
『仁嶋サワコ(ニトウ)』様の近況ノートにキービジュアルがありますので、まずはそれを見ていただくと雰囲気掴みやすいかと思われます。
リンク↓
https://kakuyomu.jp/users/nitosawa/news/16818093073617279524
こんな方にオススメ
:軽めの雰囲気で気楽に読めるファンタジー旅行記っぽいものを読みたい方。
:のんびり雰囲気の中で繰り返されるノンストップの掛け合いを、ゆるゆる楽しみたい方。
:清々しいほどに独自路線を突っ走る作品が好きな方。
魔王が倒されて平和な世の中。
でも、少年は冒険にでなきゃいけなくなります。
理由は、不思議なしゃべる鳥と出会ったから……といっても少年が運命を感じて冒険に出るわけではございません。
出るのは嫌々、渋々です!
冒頭からちょっと不思議ちゃんな少年の両親が出てきて、読者を笑わせてくれるのですが、このお二人が元凶です!笑
いやいや、面白いご両親なのです!
なので、コメディタッチな作品ですが冒険に出る前から笑えるシーンがいっぱいです!
そんな笑えるシーンに魅了されていると、気付けば次々と進んでしまい、物語の内容にも夢中になっちゃいます。
私、二日で一気読みしちゃいました!
読み専さん、あなたも私と一緒に沼にハマりませんか?