「サクハナリーグ」という興行がある。異能を利用しての3vs3チームバトルだ。
主人公ヒノメは、ムイ、ミズクという仲間と一緒に戦っているのであるが、なんとこのチーム、全戦全敗ただの一度のマグレ勝ちすらない。
順位は当然最下位。
いつまでもこの状態が続くとチームは解散しなければならないというのに……
王道で少し懐かしい雰囲気の物語、を現代風にした感じでしょうか。
人物がとても生き生きとしており、それは主人公だけでなく、仲間の二人だけでなく、敵方にも当てはまります。一人ひとり個性付けや行動の動機付けがしっかりとしており、最初は読んでて「嫌な感じー」と思うような子もいつの間にか好きになっていたり。
徹底した「和」テイストも大きな特徴です。
和風異世界です。
必殺技は「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」と呼ばれているのですが、なんと技の名前が優雅な和文。
アニメだったらメチャクチャかっこいいだろうなーと思います。
完結済みで、多くない話数の中に乙女たちの熱き激動が無駄なく分かりやすく、綺麗にまとまっています。
良いとこもあるけどダメなとこもたっぷりの彼女たち。
だからこそ感情移入できること、間違いなしです。
いや素敵な作品に出会えたっ。
花守という異能を有する少女たちが3vs3で戦う試合、その興行がサクハナリーグである。その中での最弱チームが、解散の危機を脱するために奮闘しようとするのだが…。
一風変わった都市の描写や成り立ちの設定も面白く、お茶やお菓子にも世界観が投影されているため、花守、という特殊な設定にもすんなり馴染めると思います。サクハナリーグの試合は班によって制限は違えど、リスポーン(死に戻り)可能。3人でそれぞれ近距離、遠距離、防御と特化した特性や役割を持っていたり、ゲーム的でいえばゲージが溜まってからようやく使える必殺技のようなものもあったりで、ルールの中で戦う面白さもあります。
特筆すべきは、主人公ヒノメを含む少女たちの精神的な成長でしょう。最初の頃は、彼女たちの行動や考え方に、ヤキモキさせられたりするかもしれません。しかし、意外な導き手を得て、格上の相手に試合を挑み、その中で考え、時にはぶつかり合って、少女たちは互いを成長させていきます。過去の確執も、辛い思い出も、仲間を信じて前を向く少女たちは彼女たちなりの方法で、乗り越えていくのです。
剣と剣との息つく暇もないほどの応酬、異能による技の展開、戦闘シーンもスピード感がありながらも丁寧に描かれており、実に読み応えがありました。
少女たちが成長していく様を、ぜひ、見守ってみてください。
お薦めします(^^)!
主人公のヒノメ、そしてチームメイトのムイとミズク。彼女らは、異能を駆使して戦う『花守』達。
彼女らは、サクハナリーグの中で、万年最下位の弱小花守。しかし。ある一試合をきっかけに、自分達に必要なものを理解していく……
間違っていたらすみません。こちらの小説、MOBA(ゲームジャンルの1つ)を参考にされてらっしゃるのかなぁと思うんですが、一時期MOBAにハマってた私には刺さりました。読者がゲーム好きかどうかで、大分印象が変わるお話かなぁと思います。
仲間内で相談しながら味方陣地を守ったり、敵を追い詰めたり、それらが上手くいかなかったり……ゲーム特有の楽しさが、お話に落とし込まれていて、読んでてMOBAの楽しさを思い出しました。
ゲーム好きこそ読んで欲しいと思える小説です。