第3話 妨害

「リムジンはミルキーウェイ社の備品であり一部でした。出発した時点でもそれに間違いはありません。途中制御を離れましたが、こうなることにミルキーウェイ社が関わってないはずはありません。それならば、可能な限りリムジンを回収できるようにするでしょうし、人命を危険にさらすことはできないはずです」

 タロースは説明した。

「だから、いつか誰かが誘導しにくるはずなのですが、それはいつ来るのかが問題です」

「よびつけておいて、遭難させるとはどういうことだ」

「二つの意志が働いていると推測します。一方は後継者を決めるための親族委員会、もう一つはさて、ミルキーウェイに暫定でもオーナーがいるのか、何者かにコントロールを奪われたのか」

「とにかく、この状況をまずなんとかしたい。ここはどこだろう」

「自然主義者の保護区かも知れません」

 自然主義者とひとくくりにいってもテクノロジーをある段階から先まったく否定し、破壊する過激なものからロボットを否定するだけのものまで多様である。彼らは自分たちの生活様式を守るための居留地をいくつか特権的に得ている。自然主義者のようにくらせなくても、あこがれる支援者にはことかかないし、自然主義の指導者たちも影響力のある人にせっせと働きかけている。

 そのへんの結局俗っぽさを嫌う人も少なくない。ヒコナはどっちでもよかった。

「外部接続できないので、情報は不十分です。ただ、遠目に見張っている人間が二名おります。朝になればやってくるでしょう」

「目下、打つ手なしか」

「今は、休息を取ってください。明日、彼らと話をするのは私では不都合が予見されます」

「そうだな」

 不幸中の幸いは、このリムジンは移動することをやめただけということか、彼は室内を見回した。飲食物も、寝る場所もあるし、空調もきいている。

「ゆっくりやすませてもらおう」

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