第10話 冒険の始まり

「それで、うけたのですか」

 タロースは受け取ったばかりのデータを分析しながら聞いた。

「うん、」

「データをみるに、これはかなりのハイリスクハイリターンですね」

「うん、かなり無茶だ。無理に近いね。普通は失敗する」

「ではなぜ受けたのです? 」

「君は銀河ロボット社の社主秘書になってみたくないか? 」

「いえ、私は・・・」

 いいかけてタロースははっと言葉をきった。

「何か、約束をいただいたのですか? 」

「いや、そんなものあるわけがないだろう」

「ではまたいっぱい食うかもしれませんよ」

「それくらいなんでもないさ。まあ、行けるところまで行ってみよう」

「いきなり失敗の可能性が高いのですが」

「ま、おまえがいるし、きっとなんとかなるさ」

「私? 」

「楽しみだ、といっていたろう。楽しもうじゃないか」

 タロースはびっくりしたようにしばらく動きを止めた。しばらく考えて、何か思い当たったようにはっとして、そして深々とお辞儀をした。

「人間には、まことかないませぬ」


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謙虚な謀略者 @HighTaka

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