誰かが尾鰭をつけた話

不思議な肉を食したことで身体の成長が止まってしまった少女・千鶴と、彼女を保護した謎めいた青年・紫水によって紡がれる物語。

不思議な肉を食べたことで身体の成長が止まってしまった少女の物語というと「八百比丘尼」伝説が有名であるが、本作はさながら現代版・八百比丘尼伝説と言えるのかもしれない。

硝子細工を思わせる緻密な心理描写は必見。正しくノスタルジアに浸れる、現代の御伽噺と言えよう。

　題名の通り、わたしは日本昔話をよんでいる気分になりました。
　昔話好きなんですよね。
　こう、雰囲気というか。掟なり重さというか陰鬱さもあるのが影響しているのか……。
　という感じで、物語を読み続けています。

あたたかい両親と幸せに暮らしていた十歳の少女

いつまでも成長しない体に戸惑う少女
成熟した心なのに大人になれない少女
幸せな婚姻を望むことのできない少女
村の掟に従い救いもなく村を出る少女


紫水という名の穏やかな青年と出会う少女
医者であり研究者でもある青年と少女

やがて近づく二人の心と距離

なぜ十から成長しないのか
少女になにが起こったのか
語られる伝承との関係とは


あたたかく、やわらかい
二人が心を通わす物語に憧憬を抱く思いです
少女と青年の未来と、
不思議な尾鰭の謎を追いかけてみませんか！！！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（188文字）

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千鶴ちゃんと紫水先生が特に素敵！

最初に読んだ感想は、初めて読むお話なのに何処か懐かしい。それは多分、お話の中の語り口がそうさせるのかなと思います。
ゆっくりだけど心に響く様な、言葉の一つ一つが大切に紡がれたお話だと思いました(^^)

千鶴さんと紫水さんの会話がなんとも優しくて、読んでいて優しい気持ちになります。
少しずつ千鶴さんの心の穴が、この先出会う人々や紫水さんの手によって埋められていったらいいなぁなどと願っております。

余談ではありますが、個人的に紫水さんが刺さり過ぎて刺さり過ぎて…笑
優しくて仕事に対して誠実、でもちょっと抜けてる所もある…最高ですね、はい。もう好きです。