アンドロイドの抱える深い葛藤とは?

環境調査の目的でやってきた惑星。
タナカと相棒アンドロイドのノイは、いま危機的な状況にいた。
これは葛藤を抱えるアンドロイドと熱い人間の物語だ。

良かったのはキャラクター描写だ。
きちんとキャラクターに過去を感じられて立体的に見せている点、そして深い葛藤から来るドラマ性が本作の魅力だろう。
さらに置かれているスライム型モンスターにノイが捕まっている危機的状況がストーリーに適度な緊張感を与えている。

アンドロイド法という常識がありながら、ノイを見捨てないタナカ。彼の誰にでも公平で優しい態度は彼の言葉をもっと聞きたいと思わせてくれる、そんな深い魅力がある。

さらにヒューマンドラマ。その熱い描写は読む者の心を震わせ、満たしてくれる。

テーマはおそらくボーダーを超えた友情なのではなかろうか。アンドロイドと人間、異なる者同士が生きていくこと、裏切らず仲違いせずに共に歩んでいくこと、そうしたときに私たちは誰にもなれる、何にでもなれるのだと教えてくれる。

そのように見たときにノイの葛藤やタイトルを見直すとまた違った面が見えてくるだろう。

おすすめの作品です。

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