第8話爆破テロを防げ!②
ビル内の混み合う人をかき分け、逃げる羽毛田とそれを追うシチロー達。
「ハァ…ハァ……しつこい奴らだ、折角変装して潜り込んだのに……」
「まさかオバサンに変装してるとは思わなかったわ」
「冷静に考えたら、あんなにゴツいオバサン滅多にいないわよね」
「分析はいいから、早く捕まえるんだ!」
逃げる羽毛田一人に対して追いかけるのはシチロー、てぃーだ、子豚、ひろきの四人。ここまで追い詰めれば羽毛田を捕獲するのも時間の問題かと思われたのだが、最後の最後に羽毛田はとんでもない行動にでた!
♢♢♢
「おい、お前達! これが目に入らねえか!」
羽毛田が逃げる時に背負っていたリュック……そのファスナーを開け、中からこのビルに仕掛けようとしていた爆弾を取り出し、更にポケットからその爆弾のものらしいリモコンを取り出した。
「それ以上近づいてみろ、このリモコンのスイッチを押すぞ! 10分後にはこの辺り一帯木っ端みじんだ、それでもいいのか!」
どうやらその爆弾、リモコンスイッチを押した瞬間から10分後に爆発するタイプらしい。
「だけどそんなことしたら、アンタも生きてないわよ!」
「なるほど! ティダ、ナイス返し!」
「うるせえ! 自爆テロは、テロリストの基本だ!」
「そんな……こんな不人気小説に命なんか賭けないでよ……」
「そうだよ……PVなんてたった200しかないのに!」
ほっとけ……
これ以上近づけば、今にもリモコンのボタンを押しそうな羽毛田と睨み合い、膠着状態が続くティーダ、子豚、ひろき、そしてシチロー……いや、先程からシチローの姿が見えない。
「ねえ、ところでシチローはどこ行ったの?」
「そういえば、シチローがいないね」
「まさか、一人で逃げたとか!」
子豚の言う通り、シチローは爆弾に恐れをなして三人を置いて一人で逃げたのか?
シチローならありえそうな話だが、実はそうではなかった。
シチローは、人混みで身動きが取れなくなると気付くとすぐになぜか都合よく傍にあったロープを使って、現在地であるイベントホールの天井裏に上がっていた。
「羽毛田の奴、爆弾で来場客を人質にするとはなんて卑怯な真似を……」
天井の隙間から羽毛田の様子を窺うシチロー、幸いその様子は羽毛田には気付かれていないようだ。
(まてよ? 今、羽毛田は窓ガラスを背にしているから……)
六本木ヒルズの高層ビルで窓ガラスを背に立っている羽毛田。その後ろに人はおらずまさか羽毛田も自分の背後に人が現れるとは、夢にも思っていないに違いない。
(よ~し、羽毛田の奴、見てろよ……)
声を出さないように一人ほくそ笑んで、シチローは天井裏の丁度羽毛田の背後の窓ガラスの上あたりに移動を始めた。
♢♢♢
「おらおら、さっきまでの勢いはどうした」
勝ち誇ったように高笑いをする羽毛田が
「一体何が目的なのよ!」
「何がって?」
「どうしてここに爆弾を仕掛けたいの?」
「それはテロリストを名乗っている以上、爆弾の一つや二つ爆発させなきゃ恰好がつかねえからな!」
そんな羽毛田の言いぐさに目が点になる三人。
「嘘でしょ?」
「政治信条とか宗教とかじゃないの、普通は……」
「なに、恰好がつかないって……」
「バカじゃないの、アンタ……」
てぃーだも子豚もひろきも、寄ってたかって口々に羽毛田をディスり出す……こういう時は、あんまり羽毛田を刺激したらダメなのに……
「やっぱり、髪の毛と脳みそは比例するんじゃないの?」
「バカとハゲって両方二文字だしね」
「お前ら……言わせておけば……」
いっそのこと、この場でスイッチを押してしまおうかと思う気持ちをグッとこらえる羽毛田。ここで押してしまえば同時に自分も捕まってしまう。
そして、この時間稼ぎが実はシチローの次の行動の手助けになっていた。
シチローは天井裏のパネルを開き、ロープを伝って羽毛田の背後へとそっと降りてきた。その様子を見た子豚は思わず”あっ”と声を上げそうになったが、それより一瞬早くてぃーだが子豚の口を塞いだ。
高層ビルの窓際を背にしている羽毛田の後ろは全くの無防備だった。
シチローはその背後に立ち、まるでいたずら小僧のような笑みを見せるといつぞやの宣言の通り、両手を組んで人差し指を伸ばした形を作ると、それを思い切り羽毛田のケツに突き立てた!
「くらえ~~っ! 正義のカンチョ―――ッ!」
「※§〇Θ±ΧΨΣΓΛβ●▲▽□×※」
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