使えないと言われたスキルを成長させて皆を救います
@kaiha
第1話遭遇
ある日、ダンジョンと呼ばれる化け物の巣窟が地球に放たれた。
軍や部隊が中に入ってみたが、そこにいたのは銃や科学兵器が効かない化け物達ばかり。
しかし、ダンジョンが現れるのと同時刻、異能の力を手に入れた人類が次々に誕生した。彼らを『覚醒者』と呼ぶ。
「はぁっ!」
星1ダンジョン【手軽ダンジョン】覚醒者になったらまずはこのダンジョンと言われるほど、簡単に経験が積める場所。
そんな【手軽ダンジョン】の第2層には、スライムにも苦戦する『覚醒者』が存在したいた。
『経験値を獲得しました レベルが1上がります』
『レベルが10に上がりました』
「おぉ、いつぶりだろう、スキルに変化は……なしか」
影山悠生かげやまゆうせいこと俺のスキル操影レイトシャドウは影を操るスキル、一見使い勝手が良さそうに見えるけど、実際は、半径3Mにしか伸ばせなかったり、相手がその範囲内に入ったとしてもできるのは、足を影で固定することのみ……しかし、『覚醒者』の足に伸ばしたところで、力技で破られるのがオチか。
このスキルを得て誰もが最初は俺に期待した、しかし、それから罵るに至るまでのスピードは比喩ができるような物ではない。
皆離れて行った。最初に煽てた人、幼なじみ、親友、スカウト……何もかもが俺のスキルの詳細を知るや否や、俺の元から離れていった。
「ふぅ、今日はこの辺にして帰ろうかな」
そうだこんな事を考えても仕方がないそんな事を考えながら帰路に就こうとしていた時……俺の地面の真下に穴が空いた。
「え?はぁぁぁぁぁ!」
そうして俺は、先が見えない奈落に突っ込んでいった。
ダンジョンは全100層になっており、本来は3層に落とされるだけで済んだはずだったが……どこだここ?
「いてて、ふざけんなよ、死んだらどうしてくれるんだ!」
当然だが、返事が帰って来る事は無かった。
「にしても……ここはどこだ?どう考えても3層ではない筈」
ダンジョンは下にいけば行くほど黒くなっていく……しかし、ここは白色の場所だった。
「よう、来たか」
「!?」
気配を全く感じなかった、というか今も感じない。
俺に話かけて来たのは黒いモヤモヤだった……初対面の筈なのに、何であのモヤモヤは俺を知ってるみたいな感じを出してるんだろう?
「あの?どなたでしょうか?」
「あ!?……いや、そうか、スキルのシステムを考えたらお前が俺を知ってるはずがない」
びっくりした、何か怒らせたのかと思った。
「そんな事はどうでも良くてだな」
どうでもいいんだ。
「何だお前今の戦闘!?あんな下手くそな影の使い方今まで見たことがねぇぞ!?」
え!戦闘見てたの!……でも、下手くそなんて言わなくても良い気がするんだけど。
「俺の力を使う奴がどんなやつか知りたくて、わざわざ此方まで来てやったっていうのに……はぁ〜まさかこんない戦闘が下手なやつだったとは」
「しょうがないじゃないですか、今まで戦闘なんてしたことが無いんですから」
そうだ、俺は今まで普通の高校生として生活をしてきたのに、いきなり『覚醒者』になって戦えなんて言うのは不可能に近い。
でも俺にはこの職業をやらなければいけない理由がある。
「そうだな、今まで普通に生きてきた奴にいきなりモンスターと戦えって言うんもはまず不可能だ」
「ならーー」
「だから何だ?それが戦わない理由になるとでも思っているのか?そうやって何かと理由をつけて逃げ出す、お前が子供の時からやってる悪い癖だな」
そうだ、俺は子供の時から理由をつけて逃げてきた……でも仕方がないじゃないか、初めての事に挑戦するというのはあまりにも難しく、大変な道のりなのだから。
「そうだな、初めての事に挑戦するのは難しい……じゃあ、一生そうやって逃げ出しながら、環境に文句を言い続ける害悪人間にでもなっておけば良い」
その時、今までの記憶と共に、激しい嫌悪感が俺の中を駆け巡った。
「強い奴は何をしても良いのか?弱いやつを見下し、無能無能と言いふらすことも?」
「当たり前だろ!この世界は”ダンジョン”が生まれたこの世界では強いやつが正義だ!それ以外はカスだ」
ひどく冷たい声色……そんなに言うなら俺がこの世界を変えて見せる、強いやつが正義ではなく、弱い人間でも正義になれる……そんな世界を作って見せる!
「お前さっき俺の影の使い方が下手とか言ってたよな……じゃあ見せてみろよ!その上手な影の使い方って奴をよ!」
「ハッ!生意気だが良いねぇ、しょうがねぇ、”お手本”見せてやるよ」
こいつが今から何をするのか、そうして俺のスキルにはどんな可能性があるのか、それを見るのが俺の今すべき事だ。
「おい、此方来い」
「分かった」
俺がモヤモヤまでよって行くと、そこには無数のゴーレムが存在していた。
「こんなに沢山は無理だ!どんなに頑張ってもA級が10人は必ず必要だ!」
それを一人で戦うなんて普通では不可能だ……もしこれができるならS級の最上位くらいだろう。
「うるせぇ、耳元で騒ぐな」
俺が忠告したが、そんなのお構いなしにモヤモヤはゴーレムの方に進んでいった。
「彼奴は何がしたいんだ……まさか、勝つ自信があるというのか、あのスキルで」
「ふぅ、ゴーレムとか言う雑魚……此方に来い」
そう言葉を発すると、一斉にゴーレムの赤い目がこちらを捉えた。
「あの人間は何を不安そうな顔で見ているんだ?……まさか負けると思ってるのか、たかが”こいつ等”に!」
また目線をゴーレムに戻すと、眼前にまで迫っていた。
「”止まれ”」
原理は同じ、しかし、効果範囲・拘束時間・硬さ、どれをとっても影山が足元にまで行っている物は無かった。
「人間、お前はまだこの技を使えないらしいな……剣ソード」
そこには、使用者を中心に無数の黒い剣が宙に滞在していた。
「目障りだ……退け」
その言葉を皮切りに無数の剣がゴーレムに飛んでいった。
「まだまだ量が多いな、まだ彼奴が使えるようになるにはまだ先だが……ネタバレだな」
そこには使用者がいるところから半径約30メートルほどの黒い半円が出現していた。
そこでは、何も見えずただ斬り殺されていくゴーレムしか存在しなかったが、当然悠生には見えていない。
半円が出現してから20秒後ゴーレム達の屍の上に立っていたのは……黒いモヤモヤを身に纏っていた影の極致……ヴェルテックだった。
「ふぅ〜久々にこの力使ったから疲れるな」
そうして、ヴェルテックは悠生の元に近づいった。
「これが見本だ!わかったか!」
正直何が起こっていたのか全く分からないし、途中から見えなくなったけど、一つ分かったのは、俺のスキルは使い方と熟練度によって大きく強さが別れる事が分かった
「見本は分かったけど、今の俺には再現不可能な領域だったはず、これをどうやって使いこなすんだ?」
「当たり前だろ、今のお前にあの技が使える訳が無いだろ」
「じゃあ、なんで今見せたんだよ!」
「お前が何回も何回も『もっと良いスキルがあれば』とか言ってるから俺が手本を見せてやったんだ、分かるか、そして、これが今のお前が持っている力の可能性だ!」
あれが手本……俺はあそこまで強くなる事が可能ってことだよな……良し!
「じゃあ、どうやったら、あんたみたいに影を操る事ができるようになるんだよ」
「決まってるだろ……レベル上げをするしか無いんだよ」
現実的だな!
「何か、こう、もっと楽になる方法とか無いの?」
「そうか、分かったお前は弱くそして努力もしないカス以下か?そして周りには馬鹿にされる人生……何が楽しんだ?お前の人生」
こいつは人の人生を分かった気になって煽らないと死んでしまうのかよ!……そんなに言うなら上げまくってやろうじゃねぇか!
「チッ!分かった強くなって他の奴らは絶対に見返す……俺はするぞ、成り上がりを」
「そうだよな!じゃあ、レベル上げだ」
「その前に一個聞いて良いか?」
「あぁ、なんだ?」
「いや、普通他の人のスキルが進化をするにはレベル10の筈なのに何で俺は進化しなかっんだ?」
そう、他のスキルはどれも10レベを超えると第一進化を起こし、スキルが成長する。だから俺は、レベルが10になる今日をどれほど楽しみにしていたか……しかし、結果は何も成長せず、何なら穴にまで落とされる最悪な日だった。
「お前何かわかってないようだから言っておくが……他のスキルの奴らは与えるスキルに制限を掛ける変わりに、進化を早く行っている」
つまり?
「そうだな……一回の進化での成長幅はお前が一番ってことだ」
おぉ、わかりやすい。
「分かったらさっさと行くぞ悠生」
「何で俺の名前知ってるの?」
「あぁ!自分の力を与える奴の名前は把握してないとヤバいだろ!」
確かに
「じゃあ、俺はなんて呼べば良い?」
「知らんが……ヴェルテックとでも呼べ」
「わかった……これからよろしくヴェルテック」
「良いから、さっさとレベル上げに行くぞ」
そうしてこの日。俺に初めての師匠が出来た。
「じゃあ、帰れ」
「は?」
瞬きをして目が開くと……2層に戻ってきていた
「あんの……馬鹿野郎!」
そのまま俺は帰路に着いた
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