第6話討伐

MP回復薬は全部で30本……なんとかこれで足りてくれたら良いが、今はそんなことを考えてる場合じゃないだろ!




「ドッペル!剣を出しながら戦え!」




……良し、ドッペルは剣を出したし、俺も出すか……頼むぞ!




現在ボスを襲っているのは一体のドッペルと四本の剣達……しかし、MPをフルで使っているせいで、回復がギリギリ追いついているだけで、いつなくなっても可笑しくない。




そこからは、ドッペルが拳を振るい、四本の剣で切り付け、俺がMP回復薬で回復するを繰り返すのみだが、残りがもう十本しか残っていない……ボスの体力はあと五割ほど、このペースではどんなに頑張っても足りないが、最後まで足掻くとするか!












「最後の一本……か」




これを飲んでしまったら、もう回復をすることは出来ないし、ドッペルたちを維持することもできなくなってしまう。だが、これを飲むしか無い!そうして俺は、MPを回復する手段を失くした。


しかし、ボスモンスターはこちらのMP事情など考えてはくれない、ドッペルを破壊しながら、剣に切り付けられるの繰り返し……違う!彼奴今笑ってやがった、こちらのMPが切れることを分かってやだったのか!




「これ以上は無理か……戻れドッペル!」




その言葉を言い放つと同時にドッペルは俺の影に戻ってきた……現在出せる剣は二本のみ、この剣達だけでなんとかしないと。




「終わったか?彼奴いくら破壊しても終わらないのかと思ったが、やっぱりお前のMP量と関係があったみたいだな」




俺に残されたのはこの短剣と剣のみ……腕に影を巻き攻撃力を上昇させる影巻ワインドは一回だけ使えるが、そしたら剣が出せなくなる。


でも、負けるわけにはいかない!




「此方まで来るというのか、大人しく俺の養分になれば良いというのに」




「残念ながら俺は、諦めが悪いもんでねぇ」




そして俺と、ボスモンスターの近接戦のリベンジマッチが始まった。










「はぁぁぁぁぁ!」




あの時決めた一撃をもう一度叩き込む……しかし、これではまた力負けしてしまうなら、事前にバフをしておけば良い。




力のポーション


これを飲んで30分間は筋力が20%上昇すると言う今の俺が出せる金額の最上級を買ってきたが、こんなに早く使う事になるとは思っても見なかったな。




「!?」




先程まで力で抑え込めていた奴の剣がなぜ抜けるのか、不思議でたまらない顔を浮かべてやがる……当然教えるわけもないが。




このままいけば勝てるが、そんなに簡単に勝たせてくれるボスが存在するはずも無く三割切ったボスは背中に生えていた翼を使って飛んでいた。




「正々堂々近接戦でやろうと思ってたのに、逃げんじゃねぇよ」




「正々堂々?よく言うは、謎の力で筋力を上げておるくせに!」




まぁ、そうなるのが普通だよな……あの翼を切ってしまえば彼奴は飛べ無くなって地面に叩きつけられる筈だ。




「はぁぁぁぁぁぁ!」




地面を思いっきり踏み込み、全身の力を使ってジャンプするが、彼奴が飛んでいる高さにはギリギリ届かなかった。




「そうか、その高さが限界ならこちらとしてはここで居るだけで、人間を殺せると言う物だ!」




今まで飛ばして来なかった水属性の魔法を飛ばして来やがった……水?


もしかしてこいつ魚型だったりするか?でも、完全に魚の要素とか無いし……一応称号を変えておこう。




称号を【勇気ある者】から【魚を滅ぼす者】に変更して……可笑しい、力が湧いてくる……やっぱり彼奴、魚系だったのかよ!




「これなら、ギリギリ届くはずだ!」




今まで同様、全身の力を使って、ボスの翼に向かってジャンプする。




「先程届かなっかただろう?しっかりと学習はしないとな」




余裕そうなボス、だが、俺は確信した……これは彼奴の翼を捉える!




俺の短剣が奴の翼を捉えた……そのまま天井を踏み台としてもう片方の翼も切り落としておく。




「なにぃ、なぜだ、なぜ先程まで届かなかったのに、今届いたのだ!」




おぉ、余裕そうな顔から一変して、敵を見る目に変わった……やっと俺を敵として認識してくれたか!




「さぁ、さっきの続きといこうか!」










俺が短剣でボスの体を刺し、拳をギリギリのところで避ける……しかし、ポーションの時間が迫ってきていた。


彼奴の残り体力はほとんど残っていないはず……これで決める。




「はぁぁぁぁぁぁ!!」




しかし、途中でポーションの効果が失くなり、スピードの落ちた俺をボスは見逃してはくれなかった……ボスの拳は俺の顔面を捉え、神殿の壁に叩きつけられた。




「良かった、ちゃんと時間制限があったのか……安心しろお前は殺すが、その後取り込み我の体内で養分として我の中で生きるだろう」




そうして俺の近くまで近づき口を開け取り込もうとしていた時……一本の剣が奴の背中を捉えていた。そして速度が落ちたボスの喉に目掛けて短剣を突き刺した。




「貴様……最初から、こうする事が目的だったのか」




「あぁ、お前には正攻法では勝てない……だから少し卑怯な真似をさせてもらったよ」




そうしてボスの意識が遠のいて言った……ちゃんと魔石は回収した。




『ボスを討伐しました』


『報酬として、レベルが十上昇します』


『アイテム魔回の指輪を手に入れました』




魔回の指輪


MP回復速度が20%上昇する万能アイテム……これが手に入ったのはラッキーだった。


俺は良くMPを使うから、これは重宝することになりそうだ。




『では、現実世界に帰還します』




そうして、ダンジョン内からの脱出についに成功した。




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