第5話津山ダンジョン②

「ふぅ、あらかた片付いたかな?」




俺の目の前には魚の魔物が大量に転がっていた。




『経験値を獲得しました』


『レベルが40になりました』


『第二進化を開始します』




「よし!」




来た、ついに来た……これでこのダンジョンのボスに勝てるようになったら良いんだけど。




『剣で魔物を百体討伐しました』


『スキル基礎剣術レベル一を獲得しました』




基礎剣術……スキル発動時、剣類を装備時、移動速度、攻撃力が五%上昇するスキル……これが影にも乗ってら良いんだけど、多分乗らないよな〜。




『進化が完了しました』


『操影レベル二を獲得しました』




え?これだけ?黒い半円が出てくるやつとか習得出来ないの?




『剣のレベルが上昇しました』


『最大本数が二に増えました』




……恩恵これだけ?まだ何かあるでしょ、こんなに苦労したんだから。




『魚型魔物を50体討伐しました』


『称号魚を滅ぼす者を獲得しました』


『発動時、魚型の魔物に対して攻撃力が30%上昇します』




お!この称号は強いな……あれ?称号って一個しか装備出来ないの?じゃあ、勇気ある者と交換しようかな。




「もう津波と一緒にやって来た魔物は全部狩り尽くしたし、とりあえず進化したスキルを確かめながら進むとするか」




そうして俺は山の頂上目指して歩みを進めた。










「何この神殿?」




山の頂上にあったのはゲームに出てきそうなザ!神殿!みたいな建造物だった。




「この中にボスは居るはず」




俺が中に入ると扉がひとりでに閉まり、中にあったのは玉座に座って居る半人半蛇で翼が生えてる化け物だった。




「そうか、お前が我の最後の養分か」




養分?こいつ何を言っているんだ?というか魔物が喋った!こういうのってボスモンスターだったら普通なのかな?




俺がそんな事に思考を巡らして居ると、目にも止まら無い速さで拳を突き出してくるボスの姿があった。




「ッ!」




影で足を止め、腕でガードするが勢いは殺せず、神殿の壁の方まで飛んでいってしまった。




「ハァハァ、危ない死ぬ所だった」




レベルアップで基礎的な身体能力は上がっているとは言え、流石に今のレベルを相手にすることは今の俺には難しい……でも!、ここでやらなきゃこいつに殺されるだけだ!




「操影」




奴の体を固定し、上半身目掛けて右ストレートを叩き込む。




「!?」




叩き込んだ筈だった、しかし、ぬめっとした感覚以外俺の拳には無かった。




「ほぉ、普通の人間にしては良いパンチだったがーー相手が悪かったな」




後ろにあった尻尾が鞭のようにしなり、俺の体を捉える……先程までの火力とは段違いの破壊力、またもや壁に叩きつけられた。




「はぁはぁ」




「まだ立つか、だが今立ったところで、今の我に貴様は勝てん」




そんな事は自分でも分かってる、でも、やらなくちゃいけない時がいつかやって来る……それが今だ!


その時、俺の耳にシステム音が鳴り響く。




『勝つと言う強い思いが確認されました』


『影山悠生のスキル操影が神影しんかげに進化します』




スキルの再進化!こんな事は世界で一度も確認されてないはず。




『神影に進化しました』


『!エラーだ発生しました、現在の影山悠生のレベルでは、このスキルに制限がかかります』


『それでもこのスキルを使用しますか?」




使ってやるよ……あの時決めた、この世界を救うためなら何だってやってやるよ!




『使い手の強い思いを確認しました』


『制限された状態の神影を使用します』




俺の後ろにあった俺の影が出て来て、俺の横に立つ。




『別の自分ドッペルゲンガー』


『自分の影を呼び出し戦わせる事が出来ます、そして使い手の魔力を使用して神影を使用することが出来ます、しかし強さは使い手のレベルに依存する』




神影を使えるということはーーあれをやってくれ!




「彼奴の足を止めておけ!」




そう俺が言い放つと、自分の一部を使って彼奴の足元を止めに行く。




「小賢しい、こんな物で我が止まるわけが無かろう!」




当然俺のレベルが低いため破られる……ここまでは分かっていた、でも、影に隠され今まで見せていなかった、短剣には対処できるかな!




【基礎剣術】これで攻撃力が五%アップ更に、そして影を腕に巻き、攻撃力を更に20%上昇。




「これでどうだぁぁぁ!」




彼奴の腹部に向かって短剣を差し込む……感覚はあった、しかし、レベルが足りなかった。




「ふん!今のはもしかしたらと思ったが……残念だったな」




抜けない!こいつ、力で剣を固定してやがる!




「ドッペル!手伝え!」




俺の掛け声と共にドッペルがこちらにやって来る……しかし、それと同時にボスの拳が俺の胴体、頭と関係なく乱打していく。




「ッ!」




いつ手が短剣から離れても可笑しくなかった……しかし、ドッペルが俺の体力が尽きる前に短剣を抜くのが間に合った。


いや、何であの乱打の中で、ドッペルは無事でいたんだ?もしかしてーー




「ドッペル、しばらく彼奴の相手をしていてくれ」




魔力が減っている……っとその前にポーション飲まなきゃ死ぬ。




「はぁはぁ、なんとか生き返った」




それにしても、さっきまでより魔力が減ってる……やっぱりそうだったか。ドッペルは体力がなくなっても、俺の魔力さえ残っていればいつでも復活ができるのか。




「これがあればなんとかできるかもしれない」




俺の頭の中に一個の作戦が思いつく。








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