第4話津山ダンジョン①
「先日S級『覚醒者』の徳光金次さんが星2ダンジョンの【朧月夜ダンジョン】で行方不明になったと覚醒者協会より、通達が入りました」
「これを受けました覚醒者協会は【朧月夜ダンジョン】の再検査をすると報告しています」
……金次が行方不明?あの時感じた気配はやっぱり触ってはいけない何かだったのかもしれない。
「ということはしばらくはあのダンジョンには入れないのか」
どこに行こうかな、この辺のダンジョンの残りは全部星3以上……俺が入れるランクのダンジョンは別の地域に行かないともう無い。
ここから近い星2ダンジョンはーーお!ここなら俺一人でも行けるかも!
そうして自宅の福岡から岡山の【津山ダンジョン】に向かった。
「いや〜今までの魔石を必要最低限しか使わなくて正解だったな」
そうしてダンジョンの隣に居る覚醒者協会の人に認証カードを見せ、このダンジョンについての説明を受ける。
「このダンジョンは今までのダンジョンとは違いまして、”1階”までしか無く、自然災害をモチーフとしておりまして、”一般人”では何が起きても不思議では無いほどですが、『覚醒者』では、余裕なレベルですので、一応警戒しながら進んでください」
「わかりました」
「では、お気をつけください」
覚醒者協会の人の前を横切り、ダンジョン内に向かって歩いていく。
「覚醒者が一人ダンジョン内に入って行きました、しかも”無能”と呼ばれている覚醒者ですこの人間なら簡単に狩れます、そうしてら我々の作戦に必要な人間はこれで全部です……はい、ではお願いします」
ダンジョン内は名前の如く自然が沢山あり、地球にあったら観光地として有名になりそうなほど海が綺麗で後ろを向くと、山が連なっており、これが自然の本来の姿と感じるほどきれいな物だった。
俺が入ってしばらくしてサイレント同時にモンスターたちが湧き初め、襲いかかってくる。
「コボルトとスライムか」
これくらいなら今の俺でもなんとかなりそうだ……にしても、自然災害が起きるとか言ってたけど、今の所そんな感覚も無いほど平和だ
「まぁ、こいつ等を全員倒せば、何かが起きるかもしれないし……さっさと倒すか」
「ふぅ、今のところはこれで全部だな」
コボルトが3匹、スライムが5匹……何でこのダンジョンが星2になってるのか本当にわからないほど簡単だ……!?地面が揺れてる!
「とうとう来たか!」
地震は多分震度が5強ほどしかし周りには何も無いから、ただ地面が揺れてるだけ……でも、一番危険なのは津波だな、多分5メートルはあるし、魚型の魔物もあの中には入っている筈。
「とりあえず、走って逃げるか」
目指すのはあの津波が襲ってこない高い場所……あそこの山はちょうど良さそうだ。
「はぁはぁ、この辺までくれば、津波の影響は受けないはず」
山の中腹まで来ており、下を向けば魚型の魔物がこちらを見ながら、噛みつこうとしていた。
「やはり、走って正解だったか」
それにしても、この辺りまで来て気づいたけど、何だ?この気配……【朧月夜ダンジョン】で感じた気配とはまた別の……餌を見つけたような感覚。
「多分この山を真っ直ぐ進み、山頂にボスが居ると思うけど」
……俺にはまだ星2ダンジョンのボスを倒す事は不可能に近い、今日の所はこの辺で帰るとするか。
「あれ、どうやって帰れば良いんだ?」
ダンジョンは最初入ったところが出入り口となっており本来ならそこから帰ることが可能なんだが……ここは、それが津波の中に埋もれてしまった。
「ここを出るにはボスを倒すしか無いってことなのかな?」
ボスを倒せばダンジョンがなくなり、強制的に帰れるそれに、沢山の経験値やアイテムが手に入る。
「ボスを倒すには現在のレベルでは足りない……この辺の魚たちを狩り尽くしてから、ボスに挑もう」
ダンジョン内の一日は現実世界の一時間ほどとなっており、ここでは何日過ごそうが、それほど関係がない。
そして、影山悠生のレベリングが始まった。
影山悠生がレベリングを始めるのと同時刻、山の頂上の玉座に座る存在が居た。
「そろそろだ、あと一人の人間の養分を取り込むだけで、この狭苦しいとこから出れる、そしたら人間界は我が統べることとなるだろう」
誰も居ない玉座の間、しかし、謎の笑い声を上げる存在が居た。
そして、山の中腹では、魚を倒し、レベルを上げ続ける青年が居た。
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