第3話称号
称号?何かは分からないけど……力が湧いてくる、これなら足りなかった部分を補ってくれてる。
「はぁぁぁぁ!」
持っていた短剣がゴブリンの首元に入る……称号のお陰で致命傷を与える事ができるようになってる。
ゴブリン達が俺の周りを囲み一斉に襲いかかってくる……しかし、それが俺の体に触れる事は無かった。
「剣……魔力量が上がってるからか、火力が上がってる……でも、チッ!まだ浅いか」
ゴブリンの肉体にダメージを与える事はできるようになっている……しかし、まだ”影”で倒す事は出来ないみたいだ。
「でも、ダメージを与える事ができるなら、それを何回も繰り返せばお前ら全員死ぬよなぁ!」
そこからはただ繰り返すだけだった……ゴブリンがやって来る、剣でそれを弾きながらダメージを与える、それの繰り返し……でも、明らかにゴブリンの動きが鈍くなってきた。
「お前ら、俺がこの”剣”だけで殺るとは思ってないよなぁ!」
持っていた短剣を再び強く握る……その勢いそのまま、ゴブリンの首元目掛けて刺しに行く。
そうして俺の前に残ったのは10匹のゴブリンの死骸だけだった。
『経験値を獲得しました』
『10匹連続討伐ボーナスを獲得しました』
『レベルが5上昇しました』
「はぁはぁ……危なかった」
実際あそこで称号を獲得していなかったら、どうなっていたかは分からない。
「でも、危険を起こしてまでゴブリン達と戦った甲斐があったな」
今の一瞬だけでレベルが5も上昇した……次からはもっと楽に討伐できるはずだし、ここを回るのが良いかもしれないな。
「っと、忘れてた、ちゃんと魔石は獲得しないと」
魔物の心臓付近には魔石と呼ばれる魔力の塊があり、それを売ることが『覚醒者』の基本収入であり、これを忘れると、どんなに強い『覚醒者』でも一生お金を稼げない。
それにしても、これだけのゴブリンを倒せる様になったしもう少しこのダンジョンの深くまで行っても大丈夫なはず。
「良し、決めた……とりあえず2層に行くのがひとまずの目標だな」
そうして俺は、【朧月夜ダンジョン】の2層を目標にダンジョン内を進んでいった。
「はぁぁぁぁぁ!」
所々でゴブリンとは遭遇するが、先程の10匹一斉に襲いかかって来るなんて事は今の所無い。
「ふぅ、そろそろこの袋の中身もパンパンになってきたし……そろそろ帰り時かな?」
現在俺の持っている魔石は40個ほどで、それを入れるだけで、小さい袋の中身はパンパンになってしまう。
「そろそろ、この小さい袋ともお別れかなぁ」
そうして俺が一息ついていると……後ろから普通の気配では無い、悍ましい何かがこちらに近づいている。
そこで咄嗟に短剣を手に取り、相手がやって来るのを待っていたが、気配の持ち主がこちらにやって来ることは無かった。
「ふぅ、どこかに行ったみたいだが……今の気配絶対にこのダンジョンに居てはいけない魔物の気配だ」
少し、見るくらいならとも思ったが、ここで死んでしまっては元も子もないので、家に帰ることにした。
そして、ダンジョンから出て、すぐ横に置いてある換金所で換金を済まし、帰路にやっと付けた。
影山が帰宅した数時間後
「おい真白、本当にこんなダンジョンでレベリングをする気か?」
ここは、難易度の割に報酬が釣り合わないことで有名な【朧月夜ダンジョン】であった。徳光はダンジョンは報酬が全てと考えており、何故真白がこのダンジョンを選んだのか全く分からなかった。
「ここは魔物の群れが多いから、レベルを上げるにはちょうど良いとは思わない?」
「確かにそうは思うが、今のお前に大量の魔物を相手できるか?」
「そこは頑張っては見るけど……死にそうになったら助けてくれるでしょ?」
「はぁ、そうだな……分かった、じゃあ行くぞ!」
「了解」
そうして、男女二人組が【朧月夜ダンジョン】に入っていった……しかし、そのうち男性一人がこのダンジョンで行方不明に、帰ってきた女性は精神を壊してしまった。
「はぁはぁ……何なんだよあの化け物!、あんなのどうやって勝てって言うんだよ!」
真白はすでにダンジョン外に出ており、あとは徳光がダンジョン外に出るだけだった……しかし、それは叶わなかった。
あと3歩でダンジョン外に出れるというところで、何者かに腹ごと切られ、連れ去られていった。
しかし、何も知らない真白の報告を受けたギルドが【朧月夜ダンジョン】の攻略を試みるが、そこには徳光の死骸や、徳光を殺し、真白を恐怖のどん底に落とした元凶はすでに姿が消えてしまっていた。そこで徳光は行方不明という形に収めるしかなくなってしまった。しかし、S級がダンジョンで行方不明という前代未聞の出来事を受け、この世界に住まう全人類は真剣にダンジョン攻略をしなければ行けなくなってしまった。
そしてこの事件の数カ月後、再び人類をどん底に落とすべく同じ奴が世界に君臨する。
しかし、何者かによって阻止され、人類をどん底に落とすことは不可能だった。
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