第10話魔法講座

自分が特異な力を持っていることは分かった……だが、そろそろ、この楽しいレベル上げの時間も終わりになる気がする。




「最上さんは、魔法とか扱えたりするんですか?」




もし出来て、その魔法が俺にも習得可能なものなら、習得してみたいんだが、どうなんだろう?




「う〜ん、誰でも使える魔法は無いわけではないんだけどーー」




「けど?」




「正確に行ったら違って、MPさえあれば誰でも扱える魔法だね」




俺の今のステータスは




ーーーーーーーーーーーー




HP:1180 MP:2950


攻撃力:2065


耐久力:826


速度:2773


知性:2301


スキル:神影【レベルが足りないため、一部の力が発動できません】基礎剣術レベル1




ーーーーーーーーーーーー




「この知性って一体どういうのになるんですか?」




「知性は、覚えが早くなったり、魔法を使うときのMPを無駄なく使えるようになるために必要な力だね」




俺のステータスで突出しているのは、MP、速度、知性の三つ……ヒットアンドアウェイをしてくれと言っているようなステータスをしている。


というか、俺の防御低すぎ!




「どのくらいMPがあれば魔法って扱えるんですか?」




「そうだね、人にもよるけど、平均はMPが1500で、知性が800もあれば使えると思うよ」




今の俺はMPが2950で知性が2301……余裕で使える気がするけど、どうなんだろう?




「足りてますね」




「分かった、どうせならここで練習していこうか……その方が経験値が美味しいでしょ?」




!本当ならこちらからお願いしたかったのに……この人は本当に人の事を考えて生活している事がよく分かる。




「お願いします!」




「良し、まずは私がお手本を見せるね……その前に此方におびき寄せて、貴方に攻撃してもらおうかな?」




「願ったり叶ったりですけど、良いんですか?近くにおびき出すって事は、近づくことになりますけど?」




そう、魔法は本来遠い魔物に、効率的にダメージを与えられると最近の研究で判明し、それから、魔法使いたちは極力近距離戦を嫌がっていった。




「大丈夫、ちょっと攻撃を与えてくれたら良いだけだから」




「ーーわかりました、でも、なるべく遠いうちに攻撃します」




「分かった、お願い」




そうして俺は、剣を召喚しワイバーン向けてそれを放つ。




ガキン!




弾かれる音が聞こえたが、そんなの関係ない、ダメージさえ与えたらこちらの勝ちなのだから。




「与えました!お願いします!」




俺がそう言いながら最上さんの方を向くと……最上さんの手のひらには、特大の火球が存在していた。あれが魔法……威力が凄そう、というか、あれ本当に誰でも使えるの?




「イグニス」




最上さんがそう言い終わると同時に、特大の火球がワイバーン目掛けて飛んでいき、鼓膜が破れるかと錯覚するほどの爆音が俺の耳に届いた。




「これが魔法だね……いまのは上級魔法だからまだ使えないと思うけど、いつかは使えるようになると思うよ、更に魔法への才能がある人達は、自分で魔法を作ったりするらしいけど、そのへんは別の詳しい人に聞いてくれると有り難いかな」




いまの魔法や、魔法を極めた人たちの説明を受けた俺は、今度は基礎的な魔法を使うために大事なことを教わる。




「魔法を使う上で大事なことはーー」




「事は?」




「イメージとMPの流れを正確に読み取ることだね」




最上さん曰く魔法とは、使用者がイメージした物をMPを使って再現するもの……らしい。


もしそれが本当ならMP便利過ぎやしないか?




と、変なことを考えつつ、しっかりと魔法の授業をワイバーンやゴーレム達に見守られながら話を聞いていく。




「そして、魔法には属性というものがあるけど、それも使用者の才能が大きく作用するね……因みに私は火、水、木、地、風と言われる基本元素しか扱えなかったかったよ」




俺は一体どういう魔法が扱えるのか今は昔に戻ったかのように錯覚するほどワクワクしていた。こんな風に感じたのはいつぶりだろう。




「じゃあまずは、初級魔法で一番扱える人が多い火属性の【ファイア】から試してみようか」




「はい!」




「じゃあ、そこに滞空しているワイバーンに向けて、手を広げて」




「わかりました」




「MPは体中を巡っている、それを、手のひらに集めたら、掌が少し暖かく感じるから、それが合図。あとは、【ファイア】をイメージして、ワイバーンに向けて放つだけ」




体中を巡っているMPを見つけ、それを掌に集める……なんだか掌が暖かく感じてきたけど、。これが合図かな?あとは【ファイア】をイメージ、イメージ……瞑っていた目を開けるとそこには、先程まで最上さんが見せてくれていたサイズには到底届かないが、ちゃんと手の前に火球が存在していた。




「これを?」




「放つのみ」




標的はワイバーン……「ファイア!」




そう言い終わると、ワイバーン向けて小さな火球が飛んでいき、ワイバーンに命中した。


凄い!これが魔法……これは使えるな絶対。


少し考え事をし、足が止まっていた俺に、【ファイア】が命中したワイバーンがこちらにやって来ているのに気づかなかった。




「!?」




こちらに向かってくるワイバーンに向けて腕をクロスし、守る体制に入るが、その衝撃が腕や体にやって来る事は無かった。




「大丈夫?それにしても貴方、魔法の才能あるよ」




寸前のところで、最上さんがワイバーンの首を落としてくれた。




「私が魔法を使うのには一日掛かったのに、凄いね」




それが凄いのか分からなかったので触れる事は出来なかったが、得る物はあった。




『経験値を獲得しました』


『レベルが60に上昇しました』


『スキルの一部ロックが外されます』


『保管を獲得しました』




待望の第三進化を果たした……これでもうちょっと戦えるようになったのかもしれない。




『魔法を発動しました』


『基礎魔術レベル一を獲得しました』


『使用者のMPの伸びが多いため魔法合成を獲得しました』




これってさっき言ってた魔法を自分で作れるようになるスキルだろうか?それなら喜ぶしかない。

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