第5話
電話した後、多少身嗜みを整えて、日葵の家にやってきていた
「うぅ.....やっぱり緊張する.....」
「でもお兄ちゃんがいいよって言ったんだから、多少は我慢してね」
「わかってるよぅ」
いざ、日葵の家に来てみるとどうしても緊張してしまう
男の時はずっと通ってたし、受け入れられていたけど、女になってからは、真尋にも日葵にもこの状態を受け入れられて隣にいてくれることには安心はするし、日葵の両親からも拒絶はされないだろうと思っていても、まだ心のどこかで、拒絶されるんじゃないかっていう不安はある
「いきましょう。大丈夫ですよ!」
「.....うん!」
ここは腹をくくるしかない!
「今帰ってきましたー!」
「おかえりなさい、日葵」
「うん、ただいま!」
「それと、真尋ちゃんと.....どちら様?」
「おばさん、今晩もお邪魔します」
「ええ、いいけど、その子は?」
「それについては後でちゃんと説明します」
「わかったわ。とりあえず上がっていいわよ。日葵、お父さん呼んできて。たぶん部屋で寝てると思うから」
「はーい。わかりました!」
うんうん、いつもの光景
大体、おじさんは仕事で疲れて、休みの日はお昼寝してる.....子供みたいだなぁ
「それで、その子は?」
「えーっと.....」
「ほら、頑張って」
真尋に行ってほしいんだけどさすがに最初は自分で言うしかないか
「今日もお邪魔します。いろいろあって見た目が変わっちゃってるけど、茅峰渚です」
「.....へっ?」
あらま、素っ頓狂な声を上げっちゃって。でもまあ、そうなるよなあ
「実は.....」
そこからは日葵にも説明したような内容を日葵のお母さん――
「そうだったの.....大変だったわね」
「いえ、真尋にも日葵にも受け入れられてとても安心してるので.....ありがとうございます。暁美さんも、ボクのことを受け入れてくれて.....」
「もちろんよ!さ、夕飯が冷める前に食べちゃいましょう!」
「うん!」
今日の夕飯何かな~?暁美さんのご飯めちゃくちゃおいしいんだよなあ
「よかったね.....お兄ちゃん」
そうつぶやいた真尋の言葉は、夕飯が楽しみになっていた、ボクの耳に届くことはなかった
―――
「ふぃ~。今日のやつも美味しかったね」
「ねー。日葵ちゃんのお母さん、本当に料理うまいよね」
夕飯を食べ終えたボクと真尋は自分の栄に帰って、寛いでいた
本当は、日葵とまだ遊びたかったけど、日葵は夜8時から2時間のオンライン授業があるから、仕方なく帰ってきたのだ
「お兄ちゃんお風呂入れたから入ってー」
「りょーかーい」
そして脱衣所まできて、ボクは気づいた
そう、女の子の体なってからまだ自分の裸を見たことがない!
.....ズボンが脱げたときのやつはノーカンで
というか、今更、鏡に映る自分を見て本当に女の子になったんだなあって思う
鏡に映るのは、紛れもない美少女の自分
サラサラで艶やかな銀髪に、ぱっちりとした目、それに加えてもちもちな頬と柔らかそうな唇
どれをとっても完璧というほかない
「むふふっ!」
そんなかわいい自分の顔を見て、若干どや顔になり、ない胸を張ってみた
.....うん。かわいい。これはこれでちゃんと完成されているような感じだ
「お兄ちゃん.....何やってるの.....?」
「!!べ、別に自分の顔見て、可愛いなあとか思ってたりは.....」
「へえ、まあ、まだ自分の顔って言う自覚あんまりないもんね。でもあれは、ナルシ.....」
「うわあああ!それ以上は言わないで!若干今自覚してるから!」
さっきまでの自分を振り返ってみて、若干恥ずかしくなった
まだ見慣れてないとはいえ、自分の姿を見て、どや顔をしているのだから
「というか、なんで真昼こんなところにいるんだよ!」
「え?だって、お兄ちゃん、体の洗い方とか知らないでしょ?」
「.....体の洗い方?なにそれ」
体に洗い方というのもがあるなんて聞いたことないけど.....
「女の子の体はね、ちゃんと毎日、整えておかないと、大変なのことになるの。だから、今日から、お風呂の時とか、そのあとのこといろいろ教えてあげる。とりあえずは、私のを使ってもらうけどね」
「ほへー」
何を言ってるのかさっぱり
でも......
「そ、それってさ、真尋が体を洗ってくれるってこと?」
「んまあ、そうなるかな?」
「.....」
こいつに恥ずかしさというものはないのか?
というか、ボクが恥ずかしいんだけど.....
.....でもまあ、小学校卒業以来、久々に兄妹...いや今は姉妹(ボクの方が姉だけどね!)で仲良くお風呂にはいれるならそれでもいいのかな?
それに!体を洗ってくれるのなら、楽できていいしね!
「うぅ.....ちょっと恥ずかしいけど、真尋がそういうなら.....」
「うん!じゃあ、先中入ってて」
「うん.....」
そして、服をぱっぱと脱いで洗濯籠に入れ浴室へ入った
あらかじめ真尋が浴室の暖房を若干入れてくれたおかげで寒いことはない
だから後は、椅子に座って、真尋を待つのみ
......なんだけど、一応タオルで体の前を隠しているとはいえ、座るときに自分の姿が全部見えてしまった
精神は男のはずなんだけど、それを見て欲情するなんてことはなかった
なんかそれはそれで、男だった頃の自分を否定されているような気がして、悲しかった
まあ、貧相なのが原因かもしれないが.....
そんなこんな自分の体のことを考えてるうちに、後ろから扉の開く音がして、真尋が入ってきた
ボクは振り返って真尋を見ると.....
「お兄ちゃん、お待たせ......」
若干頬を赤らめ、恥ずかしそうにタオルを巻いている、真尋が立っていた
ーーーーーーーーーー
あとがき
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