第4話

そうして、俺は来た時のように両手に花の状態でいったん荷物を置くために、俺たちの家に帰ってきた


「っていうか、お前らは何買ったんだ?」


「わ、私たち?」


「うん」


「ええっと、それは....」


「それはですね、私たちが今の下着を買ったのが結構前で、それで.....」


「.....あー、うん、理解したわ。なんかごめん」


「いえ、別に.....」


なんかちょっと気まずい雰囲気になったな.....


「そ、それよりさ、荷物置いたなら、早く日葵んち行こうぜ!」


「あ、そうですね。でもその前に、渚君」


「はい?」


なんだろう?


「その見た目で俺って言うのはちょっと違和感あるので1人称私にしてくださいね?」


「え?やだ!俺はこれでも心は男なの!.....まだ.....多分」


ええと、俺男だよね?いやでも今体は女.....


「うーん。お兄ちゃんが私って言うのもなんかちょっと気持ち悪い気がする.....」


「え?それは純粋に傷つくんだけど」


「ごめんごめん。でも、やっぱ私はねぇ.....」


「うぅ~。あんまり使いたくはないけど.....ボクならいいでしょ!」


「「.....」」


「え?何?」


無言辞めて!怖い!そして背を向けないで!


「ねえ日葵ちゃん」


「ええ、わかってます」


「「ボクっ娘のお兄ちゃん(渚君)のギャップすごすぎ(です)!!」」


「なんなの?!あれ、見た目可愛いのに、一人称ボクとか」


「もうね、渚君よりかわいい子はいませんよ!ええ、絶対に!!」


さっきから後ろ向いてぼそぼそなんか言ってるけど....


「ね、ねぇ、ボクじゃダメなの?」


「はっ!すいません!いえ、ダメというわけではなくて、それはそれはもう.....」


「お兄ちゃん!」


「は、はい!!」


え、なに?すごい剣幕だけどさ


「お兄ちゃん私も俺もダメ!ボク以外使っちゃダメ!」


「え?そんなに良かったの?」


「うん!もうお兄ちゃんに勝てる人なんていないよ!」


「何に勝つのかわかんないけど.....そっか、ならこれからボクにするね!」


“ボク”呼びが受け入れられて、ちょっと恥ずかしいけど、うれしかった


なんかちゃんと今の俺.....いやボクもちゃんと受け入れられてるんだなって


でもなんで、また顔を逸らしたんだろう?


「「その笑顔は反則でしょ(ですよ).....」」



―――



ボクの一人称をどうするかも落ち着いて、日葵の家に行こうとしたときおr...ボクはふと忘れていたことを二人に聞いてみた


「ねえ、ボクのことどうやって、日葵んちの親に説明するの?」


「「あっ.....」」


うん、これはボクも悪いけど、みんな忘れてるのが悪いよね!


「ど、どうしよ!というか、日葵ちゃんの家の親だけじゃなくて、戸籍とかもいろいろ問題出てるじゃん!」


「そういえば、渚君が可愛すぎて、完全にそのことを失念していました.....」


「日葵ちゃん!夕飯まであとどれくらいの時間ある?」


「そうですね....あと、30分弱といったところでしょうか.....」


「とりあえずうちの親に電話してみる!私はお父さんに電話するから、お兄ちゃんは、お母さんに電話して!」


「う、うん。わかった!」


あまり、ひけらかしたことはないけど、父親は現代に存在する4大財閥の1つの社長だ。だから、表の社会にも、裏の社会にも顔が利く。そのうえ、母親は世界的な女優だ。だから家にいることはほとんどないし、学校に来るときも完璧に変装してくる。まあ、そんな親の子供だって知ってるのは、日葵だけだし、打算的な付き合いがいやだから隠してるんだけどね


大丈夫かな.....急に性別が変わったとか言ったら信じてもらえるかな.....


不安だけど、今は電話するしかない、そう決意して、なんコールか待つと


『もしもし~?渚から電話してくるなんて珍しいわね~。どうしたの~?』


「うん、あのね.....」


そして、ボクの体に起こったことを1から全部説明した


『そう。大変だったのね~?』


「うん」


『でも、真尋や日葵ちゃんはそれを受け入れてくれたんでしょ?』


「うん」


本当に2人には感謝しかない。2人がボクを受け入れてくれなかったら、ボクはそれこそ孤独になっていたのかもしれない


『で~、何か問題があるの~?』


「えっとね、戸籍とか、学校はどうすればいいかなって」


『あ~それは大変になりそうね~。今でもそういうことになった人なんて聞いたことないからね~』


「そう。だからどうすればいいのかなって.....」


『なら、お父さんに頼んで新しい戸籍作ったら?お父さんなら、それくらいできるでしょ?』


サラっと怖いこと言ってくるけど、実際それができそうなんだよね


『便宜上は、私たちの養子で、真尋の妹か姉にしておいたら?』


「う~ん。できれば姉がいいけど、まあ妹にされそう」


『うふふ。そこらへんは真尋と相談してね』


「うん!ありがとうお母さん!」


『それじゃ~、勉強とか頑張ってね~』


「お母さんも仕事頑張ってね!バイバイ!」


『バイバ~イ』


ふう。母親とは、なんとか話が付いたから、後は父親とだけど.....


ボクの不安なことが当たれば、明日が大変なことになるかもな.....


まあ、それは明日対処するとして


「真尋~、どうだった~?」


「もう大変だったよ~。今日一で疲れたかも」


「あはは.....おつかれさん」


そう、うちの父親は、僕たちのことを溺愛しすぎている。基本的には仕事をメインにしているが、実際は心の中でボクと真尋がちゃんと生活できているかめちゃくちゃ不安で毎晩、連絡をとっている。しかもこちらから電話をかけると、ワンコールもせずに出てくるから、どんだけスマホに張り付いてるんだよって思ってる。それに、本当に何かあれば、仕事を放り投げてでもして帰ってこようとする。まあ、秘書に止められて、最低限すぐにやらなきゃいけない奴だけやってから帰ってくるだろうけど。


だから、明日が大変になりそうだなってわけ


「日葵の親には正直に話すのでいい?」


「私はお兄ちゃんがいいなら、問題ないけど」


「私も同じです」


「そっか,,,,,うん。ありがとう」


「うん?どうしてお礼を言ったのですか?」


「いやさ、ボクが女子の体になって、ボク自身も戸惑っているのに、それをすんなりと二人は受け入れてくれてさ、僕としても助かってるんだよ」


「そうでしたか.....学校とかではお役に立てない雰囲気でしたので、久々に渚君のためになってよかったです」


「私も、最初は戸惑ったけど、でも、中はお兄ちゃんのままで安心した」


「そっか」


「それでは、そろそろ時間ですし、私の家に行って、ごはん食べましょう」


「「うん!」」




本当に、拒絶されなくてよかった.....



ーーーーーーーーーー

あとがき



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