第6話

おぉ!いつも見てるけど、改めてみると、贔屓目なしでもめちゃくちゃ可愛いな


「お、お兄ちゃん、そんなまじまじ見られると.....」


「あ、あぁ、ごめん。でもよかったのか?ボク一応もともと男だったけど.....」


「それ言わないで!あまり考えないようにしてたから.....それにお兄ちゃんになら.....」


「ん?最後なんか言ったか?」


「何でもない!ほらそれより前向いて!洗ってあげるから!」


「お、おう」


なんか最後言っていたような気もするけど、それを聞いたら、怒られるような気がする.....なんとなく


ま、別にいいか


ちゃんと真尋に言われたように前に向いて座りなおした


「はい、洗うのお願いね」


「うん。いいよ。それにしてもお兄ちゃんと一緒にまたお風呂に入るとは思わなかったよ」


「そうだね。お互いにいろいろと成長したし....まあ、昔は立場は逆だったけどな!」


「最初のは余計!だけどまあ、そうだね。今じゃ私のほうがお姉さんだしねぇ」


「うぐっ!それは認めない!まだボクのほうがお兄ちゃんだもん!」


なんか自分で言ってて、今までの言動振り返ってみるけど、そこまで兄としてできてなかったような....


気のせいだな!うん、気のせい!


「どうしたの?急に頷き始めて」


「いや、別に何でもない」


「そう?それにしてもお兄ちゃん、髪の毛めっちゃ長いね」


「そうなの?まあ、でもこの長さ結構気に入ってるからなあ」


「でも、お手入れとか大変だよ?」


「うっ......ま、まあ、そこは真尋に手伝ってもらう.....」


「本当に私のほうがお姉ちゃんかもね?」


「それは嫌だ!認めない!認めたくない.....」


「まあ、別にいいよ。お兄ちゃんの髪の毛はサラサラだし、お肌もプニプニだから触ってて気持ちいいしね」


いや、プニプニってなんだよ.....


ん?さっきもボク自分のほっぺたもちもちって言ってたような...ま、いっか


そうしてる間にも、髪の毛を丁寧に洗われていく


「ふへぇ~」


「だらしないよー」


「だって、真尋が洗ってくれて、気持ちいんだもん!」


「そっか.....ならよかった」


一瞬寂しそうな表情を見せたような.....


「そうだ!」


「うん?お兄ちゃんどうしたの?」


「せっかく一緒に入ってるんだし、ボクの髪とか体洗ってくれるなら、真尋の体も洗ってあげる!」


「えっ⁉い、いや、別にいいよ!」


「ボクに洗われるの、嫌なの.....?」


そこまで必死に、否定されると、さすがに悲しくなる.....


「ち、ちがっ、そうじゃなくて、え、っと、単純に、恥ずかしいというか、なんというか.....」


うん?恥ずかしい?


ああ、そっか、自分で言ってて忘れかけてたけど、一応元男だしね


いや、ボクまだ男だよ⁈


何?男を忘れるって...


そりゃ恥ずかしいか


「恥ずかしいならしょうがないか.....」


「うぅ.....そんな顔されると、なんかこっちが悪いみたいになっちゃうし.....お兄ちゃん!」


「ひゃい!」


なんかぶつぶつ言いながら、髪を洗ってくれてたら、急に大声で、呼ばれたせいで、変な声が出ちゃったじゃないか!


「な、なに.....?」


「.....背中だけ、後でお願いね.....?」


「.....うん!」


洗ってもらってるし、今日色々助けてもらったから、それくらいのお返しはしないとね!


「はい、これで髪の毛は終わり。後は背中だけ洗ってあげるから、前の方は自分で洗ってね」


「うん。さすがにそれくらいはね.....」


「じゃ、背中洗うね」


「どーぞ」


そういって、真尋の手が背中に触れた瞬間


「ぴゃ!」


さっきよりも変な声が出た.....女の子の体ってこんなに変な声出るの.....?


「ど、どうしたの⁉」


「うぅ....何でもない.....忘れてくれ.....」


髪の毛洗ってるときはあまり感じられなかったけど、真尋のモチモチすべすべの温かい手と、若干冷たいボディーソープがボクの肌に触れた瞬間に、くすぐったく感じたんだよね


真尋に恥ずかしい所見せちゃった.....今すぐにでも隠れたい.....


「変なお兄ちゃん」



―――



「はいこれで終わり!」


「ふぃ~、やっと終わった」


「ね?手入れって大変でしょ?」


「うん、こんなに髪の毛長かったらそりゃ大変だね」


背中洗ってもらい、前の方を少し恥ずかしがりながらも自分で洗った


そして、今度は....


「ほら、真尋。座って」


「うん.....」


「じゃ、洗うね」


真尋の場合は、ボクが小さいから膝立ちで洗ってくれたけど、僕が洗ってあげるときは、立たないと洗えない.....なんか屈辱


「んっ.....!ちょ.....くすぐったい.....!」


と言われてもなあ、結構力入れてるんだけど、この体が弱すぎて、多分全然力が入ってないように感じるんだろうなあ.....ちくしょう


そして、若干、真尋がプルプル震えながらも、洗い終わった


「ふぅ。疲れた.....」


「それぐらいで疲れるって、どれだけ体力ないのよ」


「だって、しょうがないじゃん!この体になったのも今日が初めてだし、力入れないとくすぐったいって言われて、体くねくね動かすんじゃん!」


「うっ.....まあ、いいや。お兄ちゃんは先に湯船につかっといていいよ」


「うん!そーする」


というわけで湯船につかったんだけど.....


「座れない.....」


うちは、多分他の家より多めに湯船に水を張るせいで、真尋が使ったとき、首上まで完全につかるくらいの深さがある。だから、今のボクがつかろうとすると、鼻辺りまで浸かってしまう


仕方ないから、湯船の中でしゃがみこんだ状態で真尋が入ってくるのを待つことにした


真尋は手慣れた手つきで自分の体を洗い終えると、湯船に入ってきた


そして、真尋が座り込んだのを確認するのと同時に、無言で速攻、真尋の懐に移動して、そこに腰掛けた


「ふぃ~。疲れが取れる~」


「ちょ!お兄ちゃんどこに座ってるの⁉」


「ん?真尋の上」


「なんで⁉というか何その当たり前でしょみたいな顔!」


「だって、深いんだもん。だから、真尋の上に座ればちょうどいいかなあって.....」


「た、確かに、これはお兄ちゃんにはちょっと深いかも.....だけど!」


「うゅ?」


「先に言ってくれてもいいじゃん.....じゃないと心の準備が.....」


「なんかごめんね?」


「うぅ.....もういいよ」


というわけで半ば諦めの状況でお許しをもらえたので、そのまま、真尋にもたれかかった


「おぉ~きもちい~」


真尋の胸は日葵に比べれば控えめだがそれでもまあまあ存在感がある


そしてそこに背中を預けたのだ!


男じゃなくてもこれは気持ちいいとしか言いようがないだろう


「ていっ!」


「いでっ!何すんだ!」


「別に.....ふん」


なんでかはわからないけど、真尋が拗ねてしまった


あまり、やらせたくないけど、真尋の機嫌のためだ!


「ん」


「頭なんか突き出して、何?」


「撫でて...いいよ?」


「そんなんで私の機嫌が直るとは思わないことだよ」


とか言いながら、ボクの頭撫でながら若干顔がにやけてる


それにつられて、ボクも気分がよくなった




たぶん今のボクの顔は、今までにないほどだらしないのだろうなぁ〜



ーーーーーーーーーー

あとがき



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