第9話

次の日、やらなきゃいけないことがあったから、眠い目を無理やり開けて起きた


とは言っても春休みだから、今は9時半なんだけどね


...それにしても、なーんか布団の中が暖かかったような気がしたんだけど、何でだろう?


まあ、そのことは忘れてなければ後で考えるとして、着替えて朝ごはんを食べたい


着替える時、鏡を見て


「やっぱり女の子になっちゃったのか...」


何とも言えないような気持ちにはなった


けど、なったらなったで、今ボクがどうにかすることもできるわけじゃないから、しばらくはこの生活を楽しむことにしよう


...戻るかは知らないけど



リビングに降りていったら、テーブルに朝ごはんが置いてあった


「そういや今日から、真尋、夕方まで部活だったか」


少し寂しさを感じながらも、昨日途中で寝落ちした(らしい)せいで途中までしか見れなかったドラマを見ながら、温めた朝ごはんを食べた


今日も今日とて日葵を呼ぼうか考えたけど、一応やらなきゃいけないこともあるし、お父さんも多分もうすぐ帰ってくる頃だと思う


ーーーーーー

ーーーー

ーー


朝ご飯食べた後は、自室でイラストを描いていた


今日は、一応正式な依頼を受けて描いている


普段は自分の趣味で描いているんだけどね


少し休憩しようと時計を見たら12時を少し回っていた


と、その時、玄関の方から、誰か家に入ってきた


真昼は部活だし、日葵には一応合鍵渡してあるけど、くる時は必ずメールで一言言ってからくるから、多分お父さんだろう


...お父さんのことは嫌いじゃないけど、ちょっと面倒臭いんだよなあ


まあ、でも今回はボクのことで家に帰ってきてもらってるから、ちゃんと会いにいかないとね


そういうわけだから、少し警戒(?)しながら、リビングの方へ行った


リビングに入ると、軽く荷物の片付けをしていた、お父さんがいた


そして...


「えっと、お父さん...おかえり。一応ボクが渚だよ...?」


そうボクが声をかけると、お父さんはバッとボクの方を見た


そして、そのまま固まった...


「本当に渚なのか...?」


「う、うん。見た目とかは変わってるけど、お父さんの息子...いや今は娘?の渚であってるよ...」


そう返すと、目玉が飛び出るくらいに大きく開いて、また固まった


ちなみにお父さんは、身長が190cm超えとめちゃくちゃ高く、髪は7:3分けで綺麗に揃っているし、今はスーツの上着は脱いでいるけど、脱いでいても、シャキッとしていて、イケメンで優秀な大人だと思われるだろう


一応これでも40歳は超えてるんだけどね...


っと、話を戻して


「お父さん!いつまで固まってるの?」


「はっ!そうだ...我が家に天使が舞い降りた...」


「おーとーうーさーんー!」


「っ!あ、あぁ、ごめんごめん、つい可愛すぎて...」


「むっ」


可愛いって言われるのは嫌じゃないけど、複雑な気分...


「それで渚の戸籍の件だったよな?」


「うん」


あ、今は仕事モードか


「それなら問題ないぞ。今日明日は久々に帰ってきたし、うちに泊まっていくつもりだが、また会社に戻った後少しだけいじっておく。真尋とも話したか?」


「うん。ちゃんと話した」


「そうか、なら、うーん今の渚の見た目的にも中3か中2くらいにしておいて、戸籍状は、真尋の義理の妹ってことにしておいていいか?いや、そうしよう」


「...え」


「あとはそうだな...また必要になってくるものも増えるだろうし、一応予備で口座に追加でお金入れておくか」


「えっちょ」


「後はそうだな...一応護衛の人数も...」


だめだこりゃ...


お父さん、ボクたちのことになると自分お世界に入っちゃうんだよね


いやまあ、それで何か不自由になったかって聞かれれば逆で、なにも不自由なことはないんだけども


でもちょっとやりすぎなところがあるからなあ


特に護衛の人数がどうとかね...


「...ってな感じにしておこう!渚もそれでいい?」


途中からほとんど話は聞いてなかったけど、まあボクたちが不利益を被るようなことは絶対にしないことだけは信頼している


「うん、もうそれでいいよ」


「そうかそうか、ならそのようにしておくよ。ところで真尋は?」


「今更かよ。今日は夕方まで部活」


「なるほどな。なら、久々にお父さんもいることだし、どこか美味しいところにでも食べにいくか?」


「...そこは手料理とかじゃないの?」


ボクは精一杯のジト目でお父さんを見つめる


「うっ...ほら、渚も知っての通り、お父さん一応軽い料理なら作れるが美味しいものはそこまで作れないんだよ。だから、せっかくなら2人に美味しいもの食べさせたいし...」


そこだけは、ちょっと鈍いというか何というか


「ボクは別に毎日お父さんのおかげで美味しいもの食べられてるの!だからこそ、たまには、お父さんが作ったものを食べたいって言ってるの!...ダメかな?」


ふふふ


悲しそうな顔をすれば、お父さんは基本的に絶対に願い事を叶えてくれるし、それに、お父さんの料理を食べたかったのは本当だしね


「うっ...わ、わかった。作ってやるから、そんな悲しそうな顔するな、な?」


「にひっ、うん!」




「渚、お前...嵌めたな?」


「ふふっ、なんのことかなー?」


お母さんはいないけど、久々の家族での夕食は楽しくなりそうだなあ


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