第10話

「ただいまー」


「あ、真尋おかえりー」


「おお、帰ってきたか」


「あ、お父さん帰ってきてたんだ」


「ああ、今日の昼過ぎにな。一応ちゃんと渚と話して、これからのことは大体決めたから、夕食の時に話すよ」


「りょーかい!先にお風呂に入ってくるね」


「わかった」


真尋がお風呂に行くのか...


体を真尋に洗ってもらうのなんか気持ちがいいし、ボクも入っちゃおうかな?


ちょっとだけ悩んでいるうちに、真尋は荷物の片づけを終わらせて、着替えの服を持って脱衣所に入って行った


「あ、お父さん!ボクも先にお風呂入ってくるね!」


「おーう、あまり遅くなるなよー...え、渚と真尋が一緒にお風呂?いや今は同性だしいいのか...?」


最後に何か言ってたような気がしたけど、先に急いで、パジャマ持ってって真尋のお風呂に突撃しなきゃね!



―――



急いで、着替えを自分の部屋から持ってきたボクは、尾とて気にちょうど体を洗っているであろう、真尋のいる浴室に入った


その瞬間、鏡に映る真尋と目が合った


「...え、お、お兄ちゃん?なんで...?」


「なんでって、真尋に体洗ってもらおうかなーって。真尋に体洗ってもらうの気持ちいいし、それにボク自身が何もしなくていいから楽なんだよねー」


「...」


「だから洗ってもらおうかと、ね?あれ?真尋?」


「...はぁ、わかった。いいよ洗ってあげる」


「本当?!やった!」


「ただし!今日の食後のデザート、何が出るかは知らないけど、お兄ちゃんの分も私がもらうからね?」


「ええー!そんなぁ...酷すぎる...酷すぎるよ」


久々のお父さんの夕食の後に愛しく食べようと思ってた、わらび餅が...


「これじゃあ、本当にどっちが妹なのかわからなくなるよ...」


「ん?ああそれね、ぜーったいに認めたくないけど、お父さんが自分の世界に入ってるうちにいろいろ決まってさ、一応ボク、戸籍上は真尋の妹になるらしいよ」


「...それ本当なの?」


「う、うん」


何?急にどうしたの?なんか雰囲気が変わったんだけど


というか、いつまでボクは立ってればいいの?


わらび餅は...あげたくはないけど、早く体洗ってほしいなぁ


「あとでお父さんに確認しないと...とりあえず、ほら、洗うから座って」


「うん」


そのあとは、昨日みたいに、頭と背中を綺麗に流してもらって、今は、湯船の中で真尋の上に座っている


...相変わらず、頭に当たるふわふわ感が気持ちいいなぁ


ただ、なぜか真尋は一言もしゃべらず、何かを考えているような顔をしたまんまだった


なんでだろう...?


ここは、真尋の兄であるボクが、悩みを聞いてあげないとな!


「真尋ー、さっきからなんか悩んでるような顔してるけどどうしたの?」


「うん?うーん、なんでもない、わけじゃないけど。とりあえずお兄ちゃんには...関係はあるけど、それを本人に確認するのはちょっとね...」


「む」


ボクのこと?


なんだろう?


...今までの行動を振り返ってみてみると


性転換して、外に出るのが嫌なボクは無理やり真尋たちに連れ出され、帰ってきてからは、体の洗い方とか、色々真尋のお世話になって、そして、今も真尋に甘え...頼り切っている


...あれ?ボクって兄らしいことなんもしてないような...どちらかというと本当に妹になっているような...


ダメダメ!これ以上は考えないようにしよう


うん、ふわふわが気持ちいことだけを感じられればいいのさ



―――



「ごちそうさまでした」


お風呂から上がって、ちゃんと真尋に髪の毛を乾かされたり、色々手入れをした


せっかくの可愛い身体なんだから、大切にしないとね


そのあと食べた久々のお父さんの料理、なかなかにおいしかったなあ


もちろん真尋とか、日葵の家の料理もおいしいけどね


あ、ちなみにちゃんとわらび餅は食べることができた


まあ、真尋はずっと何か考えていたけどね


しかも今しがた、お父さんを連れてリビングから出て行ったし


お風呂で言ったことが本当ならボクのことだろうけど、本当に何だろう?


まあ、だから仕方なく、僕が食器とかの片づけをしているんだけど、いかんせん背が縮んだせいで、シンクが高く感じられる


...まあ、なぜか台所に小さめの台が置いてあったんだけどね


本当になぜかはわからないけど、ありがたく使わせてもらおう


今までは置いてなかったのにな...


食器を洗い終わった後、ソファーで休んでいたら、真尋とお父さんが戻ってきた


何を話したのかは、ちょっとは気になるけど、まあ、気にしすぎても、面倒くさいだけだから、特に気にしていない


それに、さっきまで悩んだような顔をしていた、真尋は、今はいつも通りになっているし、何なら若干うれしそうというか喜んでいるような顔をしている


悩んでいたことが解決できたのなら、それでいいや


というか、ソファーに座ってたら、だんだん眠くなってきたんだけど


今まではこういうことほとんどなかったのに...


この体になってから体力がなくなってるのか、起きていられる時間が短くなった気がする


といってもまだ2日目だけどね


「あ、お兄ちゃんもう寝る?」


「うん...なんか眠いし...そろそろ寝るよ」


「うん、まだいろいろなれてないことも多いもんね。おやすみ」


「おやすみー」


「あ、そうだ、渚」


「どうしの?」


「うっ...眠そうにして呂律が回ってない姿もかわいいが、明日は久々に、真尋と3人で出かけるぞ」


「うん...わかったぁー。じゃ、お父さんおやすみー」




明日お出かけかぁ...楽しみだなあ



ーーーーーーーーーー

あとがき



お読みいただきありがとうございます!



続きが気になる!

面白かった!



という方はモチベーションにもつながるので、ぜひ♡や☆、フォローお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る