今にも星々の囁きが聞こえてきそうな、素敵な情景が浮かぶ物語です。作中に出てくる星座は作者の方もお気に入りだそうで、私も思い入れのある星座のひとつです。田舎で見た夜空を思い出しました。その赤き1等星は、今もそこにあるのか、すでに消えているのか……とても幻想的な世界を作り出しています。切なくも美しい物語を、ぜひあなたもお手に取ってご覧ください。
静けさの描写が巧みな小説はきわめて良質だと私は考えています。こちらの小説がまさにそうです。流麗なる文章で紡がれる美しい森の描写。言葉と言葉のあいだに漂う静けさ。星の瞬きまで聴こえそうなほどの静寂のなかで、彼女は言う。「あたしはここで、ねむりたい」是非とも静かな夜に読んでいただきたい小説です。
滑らかな文体は美しい森の光景を描き出すのですが、「美しい場所」の描写はとりわけ丹念で鮮やかで整っており、しみじみと沁み渡る言葉の芸術であるように感じました。
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