人嫌いの治療師と、人懐こい鋏使い。過去と向き合うふたりの和風怪異奇譚!

 時は文明開花の明治時代。主人公の清正は、小柄で散切り頭、丸眼鏡、ぱっとしない外見の住職さん。しかし彼の本職は、普通の医師には治せない怪異由来の奇病を治療する、怪病治療師です。
 ひ弱で荒事が苦手な清正の相棒として荒事を担当するのは、ちょっと不思議な青年・実正。長身に、茶髪の長髪。和装を好み、大鋏を武器とする和装士の彼は、清正とは正反対のとても人懐こい性格で、怪病に悩まされる町人を連れてくることも多く。
 しかしとある一件を切っ掛けに、ふたりはだいぶ面倒くさく拗らせた強敵と対峙することになってしまうのでした。

 見た目も性格もだいぶ正反対なふたりの微笑ましいやり取りから始まるこの物語は、ふたりの出会いをたどり、清正の過去を振り返る物語でもあるようです。
 強くはありますが無敵ではない実と、戦う力を持たず、それでも相棒の危機には果敢に立ち向かう清。隠された真実が明らかになったとき、ふたりの関係に変化は起きるのか……?
 和風ファンタジーにブロマンスを掛け合わせた怪異奇譚、ぜひご一読ください。

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