畏敬から親愛へ。魔獣の地で生きる少年の成長を描く、新感覚ファンタジー!
- ★★★ Excellent!!!
深い崖下へ文字通り転落し、何もかも失って、文字通り身一つで目覚めた少年――「ぼく」。彼に何があってこういう状況になったのか、詳しくはわからないのですが、村では必要とされない落ちこぼれとして扱われ、すでに両親も亡く……という絶望的な状況であることだけはうかがえます。
目覚めたそこ、崖下の地は、草木に満ち魔獣が闊歩する、ひとの住む場所と何もかも違う世界でした。
生きることも村へ戻ることもあきらめかけた少年の目に飛び込んできたのは、圧倒的な存在感を持つ魔獣の姿。かれらは少年を食おうとはせず、少年は彼らの姿に圧倒され、強い憧れを抱くようになります。
力もなく魔術の素質もない。
それでも、生き抜くために学べることがあるはず……!
子供の身で持ち物はなく、特殊な力も能力もない少年が、憧れた魔獣たちから学んで成長し、崖上の世界を目指す物語――では終わりません。タイトルにある「優秀な義弟」が登場するのは二年目以降なのですが、そこでギャップ萌えというものを存分に味わって欲しいです。
地の文の変化から少年の成長もうかがえますし、成長につれて知識も増えて世界の解像度も上がっていくという、一人称の醍醐味があります。ぜひご一読ください。