これを原作に大河ドラマを是非にと願います

平家台頭のころの平安時代後期、源為朝を主人公に彼の生涯を描く物語です。
歴史小説では、知られている史実の解釈、あるいは知られていない隙間をどう埋めるかで作者の手腕が問われると考えます。

この作者様はそこが非常に巧です。
九尾の狐の化身と知名度のある玉藻の前を母に持ってくる。為朝と言う人物は紛れもない豪傑であるのですが、なるほど鬼子と納得することしきりです。

時代背景から一つ一つの描写、当時の人々の考え方などなど作者様の歴史への深い造形に唸らされます。そのうえで物語としてエンターテイメントとしてもとても優れている。

八郎少年をはじめとしたすべての人物たちに感情移入し気が付くとどうなるどうなる? と先が気になってしまう。

後に日本の三大怨霊に数えられる崇徳上皇など有名人も登場し、なまじ歴史として登場人物たちの行く末が分かるだけに、どうしてそうなったのか? この物語世界で何が起こるのか。

しかしこれ、最後まで書くの凄く大変なのでは……、カクヨムでこんなに良いものを読んでいいのだろうか? でも読みたい。ぜひとも結末まで書いていただきたい。

鎮西八郎為朝の生涯、最後まで見届けたいと切に願えるお話です。
歴史小説好きの方々にはもちろん、それまで歴史ものに触れてこなかった読み手の方にも最高にお勧めの物語です。

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