第8話 ひと休憩

俺達は親知らず子知らずを抜けた先で一息をついていた。

「雪、大丈夫か?疲れてないか?」

「利平さま、雪は大丈夫です。利平さまこそお疲れではありませんか?」

「俺も大丈夫だ、みんな今日はゆっくり休んで明日からの旅に備えよう。」

「へい、ですが利平様はゆっくり休めるのですかい?」

「えっ?」

八兵衛の言葉にみんながニヤニヤしているのが気になる。

「お前達どういう事だ?」

「いえいえ、何でもありませんよ、なあ雪?」

「八兵衛さん、何を言ってるんですか!

ちゃんと寝ます、寝るかな?多少は・・・」

雪は段々と顔が紅くなっていく。


「雪、大丈夫かい?」

「は、はひぃ、大丈夫です、雪は初めてです。」

「雪何の話だい?」

「はぅ!な、何でもありません!」

大人達のニヤニヤがさらに増すことになっていた。


「では、ごゆるりと・・・」

「うん、みんな部屋は別なのかい?」

「ええ、宿は2部屋しか空いていなかったです、大部屋と二人部屋でしたので、我々と利平様、雪に分かれて使おうかと。」

「待て!何故その分け方になる。」

「男二人で一部屋というのも嫌でしょう。」

助さんは何を聞いているんだと呆れた感じ答えてくる。


「二人部屋を雪に使わせて俺も大部屋を使えばいいだろ?」

「わざわざ部屋を狭くする必要性を感じません。

まだまだ旅も長いのです、体力を回復させるのも大事な事にございます。

・・・回復すればですが。」

「おい、最後なんって言った!」

「おっと、これは失言を利平様も雪はもまだ若いですからな、せい・・・体力など有り余っておられる事でしょう。

さて、年寄はそろそろ休ませてもらいますな。」

助さんはノラリクラリと俺の追求を躱し部屋に向かう、残されていたのは俺と雪の二人だった・・・


「り、りへいしゃま、お部屋にまいりましょう。」

雪は袖をくいっと引っ張り部屋に誘う・・・


「待ちなさい、雪、男女は簡単に部屋をともにしてはいけないんだ。

雪も誤解されたらいけないだろ?」

「雪は大丈夫です、さあ利平さまお部屋に・・・」

「いやしかし・・・」

「大丈夫です、利平さまは何もなさらなくていいんです・・・」

「待ちなさい雪、何もしないからね。」

「がんばります!」

「頑張らなくていいから!」

俺が抵抗していると・・・


「うるせえぞ!いちゃつくなら部屋でやれ!!」

他の客からの罵声が聞こえる。

「すいません!仕方無い、とりあえず雪部屋に行こうか。」

「はい♪」

俺と雪は二人で部屋に向かうのだった・・・

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それゆけ善徳商人越後屋利平! カティ @fortune-Katty

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