第5話 新たな目覚め
俺が目を覚ますと隣で雪が寄り添うように寝ていた。
「雪!なんで隣に!!」
「利平さま、朝から騒がしくしてはダメですよ、もう少しお布団でゆっくりしましょう。」
雪は俺にギュッと抱きついてくる。
「雪、嫁入り前の女の子がそんな事をしてはいけません!」
「利平さまの側にいますから、大丈夫ですよ。」
「こら、そんな事を言うんじゃない、まったくまだ子供とはいえ男の寝床に入るなんて・・・」
「もう子供じゃないです、子供扱いするのは利平さまだけですよ。」
雪は既に十四を迎えてはいるのだが、四つの時から知っている利平としては未だに子供のようにしか感じていなかった。
「それより昨日は見苦しい姿を見せてしまったね。」
「そんな、利平さまは酷い目に合わされたのです、私達の前でまで無理に虚勢を張らなくていいのです、私達はいつ如何なる時も利平さまのお味方なのです。」
「ありがとう、そう言ってもらえると少し心は軽くなるかも知れないな。」
俺が軽く笑うのだが雪は心配そうな表情で見ていた。
俺は目を覚ましたあと、みんなに恥ずかしい姿を見せた事を謝罪し、今後についての話し合いを始めていた。
「みんなはこの後どうするつもりなのか?」
「どうするも何も一堂利平様に付き従うに決まっております。」
「待て待て、私は知っての通り一文無しになってしまった、今の私に君達を雇う事は出来ない。」
「何を言っておられるのですか?私達は話し合い利平様に付いていくと決めたのです、金の有る無しで決めた訳ではありません。」
全員を代表して助が答えてくれる。
「そもそもここにいる一堂、既に利平様より多額の恩を頂いた者達にございます、その恩返しをこれより行うのです。
利平様は邪魔をなさらぬようにしてください。」
「ちょ、ちょっと助さん、それは無いよね!」
「お静かに、私達は越後屋を再建すると決めたのです、利平様が越後屋が再建するのに当主が不在でどうしますか?」
「いや、それなら助さんが当主でも・・・」
「私は誇り高き越後屋の番頭にございます、たとえ利平様といえど私の職を奪う事は許しませんよ。」
「違うよね!なんで番頭が当主を脅すの!」
「利平さま、みんな利平様が好きなのでございます、みんなで越後屋を再建しましょう。」
雪は俺の手を取り励ましてくれる。
「わかった、再建したあかつきにはみんなに好きな職についてもらうからそれまで協力を頼めますか?」
俺の言葉にみんな頷く。
「利平様、」
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