絶望に抗え。運命に──神に抗え。

何気ない日常は、終わりを迎える。

それは、余りに唐突で──そして余りにも理不尽なものだった。

死の淵に立たされ、自らを庇った友人は無惨にも命を落とす。少年は憎んだ。この世の全てを、理不尽を、運命を──そして神を。

そんな少年の前に現れたるは、二人の少女。

少女たちは言う。

──"神を殺せば、友人を死の運命から救ってあげよう"、と。

少年の前に吊り下げられたるは、救いの蜘蛛の糸か。それとも悪魔の罠か。次に少年が目を覚ました時、そこは異世界であった──

異世界×SF×ミステリーという意欲作で、作者様は読み手の想像を上回る展開作りを心掛けているという。

その為なのか、作中に散りばめられたワード、そしてありとあらゆる文章が、何気ない情景描写のように見えても何らかの伏線だった、ということが平然と発生する。

文章を読めば読むほどに、これは伏線じゃなかろうか、これは若しかしてミスリードではなかろうかと、良い意味で疑心暗鬼に陥らせてくれる。それも単(ひとえ)に、作者様の技量の高さゆえだろう。

運命に噛み付き、神をも殺さんとする少年の行く末や如何に──

今後の展開にも期待が持てる、異世界×SF×ミステリーという、未知のジャンルに挑みし異色作。

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