地獄で待っているのは──。

地獄で待つ女のために。
そう心に決めて、仕方なく魔王という役割を担う主人公ですが……。

リリアに上書きされていくんですよね。
声、肌、匂い──忘れるはずがない強烈な女だったのに。
ぬめりと入ってきて、少しずつ、少しずつ、浸食していく。
主人公もそれがわかっているはずなのに、あの女の代替品だと自分に言い聞かせ、見ないようにしている。
その描写が非常に丁寧で、ぞくぞくします。

何より、先に女が地獄へ行ってしまい、一人になった主人公にリリアのあの言葉は刺さりますね。
地獄で待っているのは、誰なんでしょう。

綺麗にまとめられていて、満足度最高の素敵な物語です。
皆様もぜひ、読んでみてください。