ディストピア世界からの転生者〜異世界飯にしか興味がないので恋愛フラグは折っておいてください〜

　世界人口が1億人となり、彼らの幸福が人類統制AI《MOTHER》に管理されて100年の月日が流れた頃、主人公red52035は毎日変わらず提供される晩御飯（という名の何か）に辟易していた。

　美味しいご飯が食べたい——red52035のささやかな願いは、MOTHERに許可されることはなかった。

　人類がMOTHERによって管理される絶対の条件である「幸福であり続けること」を、「美味しいごはんが食べられない」という現実を突きつけられたred52035は喪失してしまい、睡眠カプセルの中で処分されてしまう。

　自分の死さえ知ることもないまま、異世界で英雄の力と共にred52035は目を覚ます。

「ちょっと待って。これって美味いごはんが食べられるんじゃないか！？」

　英雄の力は明後日の方向へ動き出す。