これぞ、サスペンス文学

「見てはいけないものを見られる」のが文学の醍醐味のひとつとするなら、この一遍は極上の文学です。
耽美、背徳感、憎悪という黒く後ろめたい感情が終始漂う蠱惑的な設定。のぞき窓の向こうの住人たちの生活の欠片一つ一つが感じられる繊細な描写。妖しい世界観が見事に描ききられています。
ペロー童話「青ひげ」をモチーフとし、現代の耽美派サスペンスへと昇華させたノランさんの着想にただただ脱帽です。