過去に縛られた料理人と父王の影に足掻く若き王子。良質のブロマンス小説。

カリスマも力もある国王ヴィクトールが崩御。
その王に「神の料理人」としての才能を見出された主人公のルネ。
優しさ故に父王に疎まれ続けたが、血筋故に王位を継がねばならなくなった王子エティエンヌ。
乱れた国の秩序を取り戻すため、王都奪還の戦いへと二人は身を投じます。

冒頭からのお料理シーンでもわかるのですが。実に美味しそうな描写が続きます。
文脈から料理の匂いが漂ってきます。本作の魅力と特徴の一つです。
そして王都奪還の戦いの中で、育まれるルネと王子エティエンヌの絆、二人が縛られし過去から己の心を解き放つ過程も、成長物語として楽しむことができます。

スピーディーな文章運びで読みやすく、キャラの心情に寄り添った描写が素敵な作品です。
ブロマンス物が好きな自分としては、おすすめのお話です。ぜひ一読を。

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