幻想薬草店とは、不思議な薬草で人々の困りごとを解決するお店。
魔女のノラ(エレオノーラ)、黒猫のリア、ノラの兄ベネ(ベネディクト・レーヴェレンツ)の二人と一匹で経営しています。
魔女のノラは薬草の知識は豊富ですが、ドジっ子でしょっちゅうあちこちにぶち当たり、怪我をしています。
そんなノラをサポートしてくれるのが、弟子で黒猫のリア。
リアはとてもしっかりものなんですよ。
ノラの兄のベネは、上級魔術師なのですが、けっこう無理難題をノラに押し付けて出かけてしまったりします。
さて、幻想薬草店にやってくる今日のお客さまは、どんな困りごと抱えているのでしょうか。
ノラたちは解決できるのでしょうか。
とっても読みやすい連作短編集。
素敵な幻想薬草店に、ようこそ!
幻想薬草店。
それだけで本好き、ファンタジー好きにはたまらない響きです。
そして、そこには個性的で魅力いっぱいの登場人物が待っています。
知識豊富なのにポンコツな魔女、優秀なのに黒猫の弟子、上級魔法使いなのに絶望的なセンスの魔女の兄。
これで面白くないわけがない!
お店を訪れる悩みを抱えた人と、不思議でどこか可愛らしい植物たちが紡ぐ、ほっこりして優しい物語たち。
読みやすい語り口と、1つ1つのお話がコンパクトにまとまっているので、ちょっとした時間に読むのにもぴったりです。
寒い冬の日、温かな物語にぜひ癒されてみてください!!
魔女のノラは非常にポンコツ。
ちょっと歩いたら肘を激しく打ち付けてもんどりうち、その拍子に調理器具を倒して頭部殴打。昏倒することなど日常茶飯事。しかもコミュ障。
そのノラの弟子である黒猫のリアは非常に優秀で、魔法を使って主のフォローをするものの、そもそも猫手で肉球があるためにできないこともあったり。
ノラのお兄ちゃんである上級魔術師のベネは優秀なのに性格と服のセンスに難がある。
そんなふたりと一匹が経営するお店には名前がない。
ただ、「ああ、あの幻想薬草店ね」とみなが周知している。そんなお店。
そのお店にはいろんな悩みを抱えた人が相談のためにやってきます。
才能はある(はず)なのに、時間がなくて絵がかけない芸術家。
オペラ歌手の妹を持つ姉。
夫の愛人の子を育てなくてはならなくなった夫人。
彼らは自分なりの問題をノラたちに語り、そして解決薬を手にして家に戻るのですが……。
さあ、それがどのような結果になるのか。
物語全体は童話風になっていてほんわかと進みますが、時折ピリリと苦みや辛さを残す読後感があります。
それがたまりません。いいアクセントになっています。
また登場人物たちも非常にユニークで、それぞれキャラが立っています。
私のお気に入りはベネ! なんてったってベネ!
ぜひ、年明けにこの幻想薬草店に、みなさまこぞってお越しくださいませ。
しっかり者の黒猫ノラ。人見知りの師匠(魔女)リア。キラキラな魔法使い(ベネ)が繰り広げる、ハートウォーミングなファンタジー小説。
街の誰もが知る「幻想薬草店」に三人は住んでいるけど、実力も魅力もいっぱいなベネ兄様は、魔法を使うと食器が金や虹色と派手になってしまうという華やかな人。その評判を聞きつけてお客さんが来ますが、妹のリアは知識はすごいんだけど、人見知りの性格で接客が苦手。そこを弟子の黒猫ノラがお客さんの相手をしてフォローするという絶妙なバランスです。
とにかく、黒猫ノラの働きぶりがすごいです。生傷が耐えないリア(理由は色々あり)の手当もささっとやってしまうので、うちにも一匹欲しい。
お話の語り口もほんわかしていて、空から星の雫が降ってくるという世界観というのも幻想的で美しいです。
まだ最初の依頼人のお話時点でのレビューになりますが、「薬草店なのに……」とそれ以外の依頼を持ち込まれて困ってしまう、ノラとリアのやり取りにほっこりします。
短編連作ということなので、今後のお話も楽しみです。