寒い日には心があったかくなる上質なファンタジーをぜひ。

しっかり者の黒猫ノラ。人見知りの師匠(魔女)リア。キラキラな魔法使い(ベネ)が繰り広げる、ハートウォーミングなファンタジー小説。

街の誰もが知る「幻想薬草店」に三人は住んでいるけど、実力も魅力もいっぱいなベネ兄様は、魔法を使うと食器が金や虹色と派手になってしまうという華やかな人。その評判を聞きつけてお客さんが来ますが、妹のリアは知識はすごいんだけど、人見知りの性格で接客が苦手。そこを弟子の黒猫ノラがお客さんの相手をしてフォローするという絶妙なバランスです。

とにかく、黒猫ノラの働きぶりがすごいです。生傷が耐えないリア(理由は色々あり)の手当もささっとやってしまうので、うちにも一匹欲しい。

お話の語り口もほんわかしていて、空から星の雫が降ってくるという世界観というのも幻想的で美しいです。

まだ最初の依頼人のお話時点でのレビューになりますが、「薬草店なのに……」とそれ以外の依頼を持ち込まれて困ってしまう、ノラとリアのやり取りにほっこりします。
短編連作ということなので、今後のお話も楽しみです。