祈りを込めて乙女は風を編む。海洋ファンタジーの良作!

戦いを繰り返す三つの国。それぞれには古の神の力を受け継ぐ神の子が生まれる。
主人公の少女ミカゼもその一人で「ミセルマの子ら」と呼ばれる。
風を操る力をロープの結び目に込めたり、薬草や様々な知識を人々に教えて「森の賢者」と言われてきた。

けれど国は神の力を受け継ぐ彼らを「異端」として迫害の力を強めていく。
故郷メーアの人々も例外ではなく、ミカゼのことを次第に疎んじていく。

「新しい風が吹いたなら、逃してはならないよ」
彼女を助けるベルマリー号の船長、マリーの台詞がかっこいい。

ミカゼの出自や両親の死にまつわる秘密も惹き込まれます。
彼女を保護という名目で追いかける青年、海軍秘書官・ニルスもミステリアスな魅力があります。
鼻が高いことを気にしていたので、きっと美青年なのでしょう。

でも私が気になったのは、かつて海軍大将を務め、しかしミカゼの両親の死に関わって軍を退く事になった、某英雄ですね。
ネタバレになるから語れませんが、彼の夫婦愛や本来、戦いが好きではない実直すぎる性格にキュンキュンいたしました。

かつての英雄がミカゼとの出会いによって、再び立ち上がる様も胸熱です。
軍服萌えにはたまらない、海洋ファンタジーです。