概要
〖祝·470PV〗ただ、その時計はもう 『時を刻んではいなかった』――
これは貴方と呼ばれた青年と貴女と呼ばれた少女の思いを綴った物語。
青年の瞳には、見つめる先の障子の間から見える紅くれないに燃えた太陽が。そして、その太陽を優しく包み込むように濃紫(こむらさき)と濃紺(のうこん)のベールの宙そらが映っていた。
夕から夜に移り変わろうとしている時分。
青年は、その時代では珍しい金の懐中時計を手にしていた。どうやら、輸入品のようだ。金が少し曇っているようすを見ると、作られてから、かなりの年月が経っていることが分かる。(第1話 冒頭より)
青年の瞳には、見つめる先の障子の間から見える紅くれないに燃えた太陽が。そして、その太陽を優しく包み込むように濃紫(こむらさき)と濃紺(のうこん)のベールの宙そらが映っていた。
夕から夜に移り変わろうとしている時分。
青年は、その時代では珍しい金の懐中時計を手にしていた。どうやら、輸入品のようだ。金が少し曇っているようすを見ると、作られてから、かなりの年月が経っていることが分かる。(第1話 冒頭より)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!『月が綺麗ですね』
柔らかな光を放つ月。そして、幾多もの煌めく星々。
夜空を彩る耽美たる情景に、二人を繋ぐ想いを綴った物語。
貴方に届けたい。この想いは叶わないとわかっていても、心に空いた穴を埋める事が出来ないまま過ぎていく描写が、なんとも切なく儚い。懐中時計は無情なる現実を映す、心の鏡のように効果的な演出を施し、とても味わい深い。
二人だけの時を眺めて、距離をなくすまで、世界が回り続けるように刻み続けたその先に、心は満たされていく。望月に見守られながら、貴方の声が聞こえる夢心地は、時を超えた崇高な境地を思わせるほど美しい。
どうか、タイトルに秘められた本当の意味をご堪能ください。