この物語はプロピアニストを目指す女性と、個展を開くことを夢みる男性、二人の人生を通して紡がれる物語です。
人が自分の感性の赴くままに表現出来るものは沢山あります。絵や音楽、文章や陶芸、数多の表現方法がある中で、何故彼女達がその道に進んだのか、そしてその表現者としての道がどれだけ尊いことなのかということを二人が人生を通してみせてくれた気がしました。
まるでこの物語を読んでいる自分自身が実際に目にしていると錯覚してしまうような繊細で綺麗な情景描写、そしてピアノの知識が皆無な私のような人でも伝わるようにと、作者様の持たれている音楽の知識を各所にそっと添えて下さっています。物語を物語として本気でいいものにしようという作者様の気持ちを至る所から感じました。
二人の人生を通して、時に笑い、時に涙ぐみ、そしてラスト後半の展開は本当に素敵で胸が温かくなりました。全ての表現者の方に。心からおすすめ出来る作品です。
僕は今、日本の喧騒から離れてフランスに来ています。
照りつける陽の光も、そよぐ風も、咲き誇る美しい花々も、全てが異国情緒に溢れておとぎの世界にいるみたい。
公園の中にある湖畔では、そんな美しい景色を絵描きがキャンバスに切り取っていて、頭の中では絶えずピアノの音が流れている。
流れる時間さえも違って感じられるような別世界。
――そう、僕は今フランスにいるんです……。
そんな気分にさせてくれる書き出しでした。
芸術の都で出会った絵描きとピアニスト。
二人がこの先どんな人生を歩んでいくのか、ストーリーを読みかけの僕にはまだわかりません。
だけど、苦悩しながらも歩み続ける二人の芸術家の行く末を、応援せずにはいられない。そんな気持ちにさせてくれる物語。
美しい風景描写と、繊細な心理描写で紡がれていく二人を、みなさんにもぜひ見守っていただきたいです。
カクヨムで初めて文章付きレビューを書く。まぁじんこぉる氏の『売れない画家とピアニスト』だ。一見するとスノッブで近寄りがたい作品だが、このハイカルチャーな世界の描写のために著者がどれほどの努力を傾けたかを想像してみてほしい。彼自身は画家でもピアニストでもなく、取材と調査に基づいてこの物語を構築している。
彼は、ネット上で悪目立ちしているところもあるが、僕のような無名アカウントにもたまに絡んでくれる変な人物だ。そうして直接言葉を交わした上で、僕は、彼が本気で作家を目指していることを理解しているつもりだ。物語の展開についての言及は控えるが、本気で芸術に向き合うという主題は、きっと彼の中で彼の本質と響き合っているのだろう。その上で、各話のコメント欄での議論にも注目してほしい。批判的なコメントに対しても真摯に対応しているその姿勢からは、彼の執筆に向き合う真剣さが看取できるはずだ。とにかく、マジな人は応援したいと思う。僕が言いたいのはそれだけだ。
一話目から知識がすごいと伝わってくるこの一作。
けれど、知識をひけらかすでも、説明的でもないのです。
一話を読んだだけで『この作品はすごい』と圧倒されます。
小説には音がありません。
挿絵機能が無い限り、画もありません。
それなのにこの作品は音楽を奏で、絵画を描いているのです。
読み始めは芸術家ならではの苦悩から始まります。
『もっと、○○な表現をしたい!』
これは、小説やレビュー、感想を書いていても突き当たることがあり、このサイトでは多くの人が共感するのではないでしょうか。
物語は苦悩だけで長くは留まらず、テンポよくストーリーが進んでいき、タイトル通り『売れない画家とピアニスト』の関係性へと切り込んでいきます。
また、多くの補足が別途あり、より学びを深めたい人へのサポートもしてくれます。
美しく、悲しく、奏で彩る世界の渦に、時には流されてみませんか。
この小説、プロのピアニストを目指す女性と、画家として個展を開くことを夢見る男性の恋と愛の物語。
二人の愛、そして芸術への想いが交差するストーリーには奥行きがあり、感動的かつ情熱的。
夢の実現に向けて、互いを支え合いながら音楽と絵画という芸術に情熱を注ぎますが、理想と現実の狭間で喜びや苦悩に揺れる二人を実にエモーショナルに描いています。
そして音楽や絵画に関する専門的な知識や描写が極めて豊富なのですが、Webで掻き集めただけの知識とはまるで違う、作者様の研究や体験が感じられます。
後書きでご本人が「最初で最後の恋愛小説」、「これが今の私の全身全霊です。120%」という通り、正にその熱情が全編迸り、魂を込めて書く事の大切さを誰もがヒシヒシと感じるでしょう。
それ故、主人公が迷い傷つきながらも常に本気でぶつかる事での内外の葛藤や理不尽さがリアルに描かれ、共感できて読む者を熱くさせます。
更に、驚くほど丁寧な補足や解説が用意されており、音楽や絵画により詳しくなれる楽しみもふんだんに用意されていて、これ程充実したアートを題材にした作品を見た事がありません。
それらが相俟って芸術とは普段縁のない人でも理解出来て楽しめる、そんなこの作品をぜひオススメしたいと思います。
プロのピアニストを目指す『ゆき』と、画家として個展を開くことを夢見る『大悟』の物語。
まぁじんこぉるさまの作品は前回もそうでしたが、専門的な知識を余すことなく文章として表現されている、素晴らしい作品が特徴的。
音楽家と芸術家。
一方は聴覚、一方は視覚、どちらも読み手に想像させてくれるような、迫力のある表現力。それは技術だったり感性だったり、何かが足りないと思わせない読ませる文章が際立ってたと思います。
一見取っ付きにくそうな、難しそうなテーマかと思いきや、蓋を開けてみれば、夢を追うふたりの苦悩や大人の恋愛。お互いを支え合い、時に目の前の試練を乗り越え、最後は幸せになるという、波瀾万丈な人間ドラマでした。
純粋に大人が楽しめる、上質な映画のようでした。音楽や絵画に興味がなくても全然ストレスなく読めます。
少しでも興味のある方にぜひ読んで欲しい、オススメの作品です。
プロのピアニストを目指す女性と、画家として個展を開くことを夢見る男性の恋と愛の物語。
恋愛小説という括りに入れてしまうにはあまりにも勿体ないと感じるほどの素晴らしいヒューマンドラマです。
私は音楽も絵もずぶの素人なのですが、それでも目や耳に浮かぶような音楽、絵画の描写が凄まじく、それでいて全くといっていいほど説明臭くなく、すっとストーリーが胸に落ちてきます。
繊細な芸術家たちの引き裂かれるような気持ちを、こうまで素人に叩きつけることが出来るものなのかと驚かされました。
特にピアノや絵画の描写に乗せて紡がれる心理描写が本当に素晴らしいです。
丁寧な補足も用意してくださっていますが、そちらを読まなくてもちゃんと理解できます。ですが読むとさらに深く楽しめて二度お得です。
絵とか音楽とかよくわからないから、と思っている方にこそ読んでいただきたい作品です。
各分野は異なるものの、人間が作り出した芸術の根底には、本来追求したい美しさや調和、そして意味が込められています。その事実を認識する過程で出会った男女が互いの不足を補い合いながらロマンスに発展していくストーリーを扱う小説作品です。
そして、小説の内容やストーリーの進行過程での描写が非常に美しく緻密でありながらも繊細に書かれており、登場人物の対話や感情表現における表現も人工的な感じよりも非常に自然で、まるで実際に小説の中の場面を観察しているような感覚を受けます。
その他にも、作中で登場する様々な要素が調和を成し、自然な雰囲気と演出を提供しており、作品を読んで理解する部分においても負担を感じません。
最後に、この素晴らしい小説作品を創作してくださった作者様に、感謝の気持ちを伝えたいです。