文字で奏でる上質な音と、文章で魅せる美しい絵画。


プロのピアニストを目指す『ゆき』と、画家として個展を開くことを夢見る『大悟』の物語。

まぁじんこぉるさまの作品は前回もそうでしたが、専門的な知識を余すことなく文章として表現されている、素晴らしい作品が特徴的。
音楽家と芸術家。
一方は聴覚、一方は視覚、どちらも読み手に想像させてくれるような、迫力のある表現力。それは技術だったり感性だったり、何かが足りないと思わせない読ませる文章が際立ってたと思います。

一見取っ付きにくそうな、難しそうなテーマかと思いきや、蓋を開けてみれば、夢を追うふたりの苦悩や大人の恋愛。お互いを支え合い、時に目の前の試練を乗り越え、最後は幸せになるという、波瀾万丈な人間ドラマでした。

純粋に大人が楽しめる、上質な映画のようでした。音楽や絵画に興味がなくても全然ストレスなく読めます。

少しでも興味のある方にぜひ読んで欲しい、オススメの作品です。


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