第9話 たらい回し ②

パソコンメーカーにおいてたらい回しが起こるものは大きく3つあるが、その内2つ目はソフトウェアーアプリではないだろうか。

お客様にとってあるソフトアプリを使いたいと言う目的でパソコンを購入して使用してみたが上手く動作しないというケースの場合説明書を見たりネットで調べたりと色んな方法で使用できるように試みる。

その試みの1つがコールセンターへ電話ではないだろうか。


「〇〇てアプリ使おうとしたんだけど使えなくてアプリのメーカーに問い合わせたらパソコン側が原因って言われたのでこっちに電話したんだけど」

「左様ですか」

「パソコンは現在、立ち上がって操作は可能と言う事で宜しいですか?」

「そっちは問題無いよ」

「左様ですか。では確認させて頂きますが、お客様のパソコンには〇▽×と言うアプリが購入時から入っております。ご確認頂けますか?」

「あ、あったあった」

「ありがとうございます。それではそのアプリは起動するか確認頂けますでしょうか?」


パソコンメーカーにとって初期にインストール入っている物以外はサポート外となる。

勿論、ネットゲームなどで推奨やコラボしている製品もあるのでそれらは対応もすることが多いがこれも実は対象外となる。

何故なら購入時に入っていないどんな物でも動作保証が出来ないからである。

アプリ同士の干渉やその他諸々動作を阻害する要因は幾つもある。


「問題無く使えるよ」

「左様ですか。ご確認ありがとうございます。それでしたらその〇〇と言うアプリ側の問題となります」

「え?如何いう事?」

「パソコン自体に異常は見られませんのでそのアプリに必要な物が何か不足しているか何かのアプリが干渉している可能性が高いかと存じます」

「え?如何すればいいの?」

「先ず〇〇と言うアプリのメーカーさんに再度お問い合わせいただくしかございません」

「え?先に電話してパソコンに問題あるって言われたけど?」

「はい、先ほど確認しました通りパソコンは正常動作をしているようなので〇〇と言うアプリ側に問題がある可能性の方が高いかと存じます。もし仮にパソコン側の問題をお疑いであるのなら一度お預かりしてこちらで確認しますが如何でしょうか?」

「分かった。もう一度アプリのメーカーに問い合わせしてみるわ」

「はい、宜しくお願いいたします。もしそちらで解決しない場合はセキュリティソフトを一旦削除してみると良いかもしれません」

「解った。もしその時は削除してみるわ~。やり方解らなかったらまた電話する」

「はい、その際は私宛までお電話いただければ私が対応しますが、電話に出た者に聞いても問題無いよう履歴に確り残しておきますのでご連絡ください」


電話を切り履歴を残す作業をしながら横の机のビー田の対応を何気に聞いていると。


「そちらサポート外となっておりますのでご案内いたしかねます」


電話を切ったビー田が俺に話し掛けて来る。


「エースさんの方もサポート外のアプリ見たいでしたね」

「おう、何時もの奴だ」

「俺もそうでしたよ」

「何か偶に居るよな~自社アプリの動作確認すら満足に出来ないコール」

「居ますね~今さっきのもそうでしたよ。株式のアプリが動作しないらしいです」


何時ものビー田らしからぬ真っ当な返しである。

株式やネットゲーム等々のネット接続して動作するアプリはインターネットに繋がる時点でパソコンメーカーの仕事ではない。


「ネットも繋がらないんだすよ~ウケますよね~」

「え?ネット環境確認したか?」

「え?確認しないと駄目なんですか?」

「環境が有るか無いかだけな。無ければそもそもの話アプリ以前にプロバイダー契約とか回線契約必要だしな」

「やべーアプリメーカー案内しました」


今日もビー田は平常運転であった。

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