第3話 詳しい者に代われ!!

「貴方の説明分かり辛いのよ。くわしい人と代わって」


技術的テクニカルなサーポートにおいてこちらの説明を理解できないお客様と言う名の別世界の住人か宇宙人がいる。

製品の使用説明を行う上でAボタンを押してくださいと説明すると何故かBボタンを押すみたいな人が結構な割合いる。

これは何故かと聞かれてもそのお客様しか解らない。

俺には永遠の謎である。

そしてこちらの説明が悪いから詳しい人間に代われと宣う。

え?素直に変わるかって?代わる訳ないでしょ!!

代わった人間に迷惑をかけるだけだ。


「お客様、失礼ですがこの部署で一番詳しい人間が私となります。他の者に代わることは出来ますが、私より詳しい者となるとおりませんが如何なさいますか?」

「・・・」


これ言うと大体のお客様が沈黙する。

一番詳しい人間に聞いて解らないとかプライドが許ささいのだろうか?


「もし宜しければ、再度ご説明させて頂いても宜しいでしょうか?もう一度チャンスを頂けるのであれば、もっと解り易くなるようご説明させていただきたいと存じます」

「解ったわ、もう一度チャンスを上げます」

「ありがとうございます」


さっきと同じ説明をさっきより少しゆっくり目に話す。

あら不思議Aボタンをちゃんと押して頂ける。


「エースさん詳しい者と代われですか?」

「よく分かったな」

「エースさんそれ言われると必ず「この部署で一番詳しい人間は私です」って言ってますもん」

「あ~確かに、そう思ってなくてもそう言えばお客は俺の話聞いてくれる」

「まぁこの部署で一番詳しいのは否定しませんけど、よく言えますよね~事実でも言えるメンタルが凄いです」

「メンタル?俺はメンタル弱いぞ」

「またまた~」


実際に俺はメンタル弱い人間だと思う。

スポーツで実力あるのに本番で発揮できない人いるだろ?

正にそれ、俺は本番に弱い。

弱いから失敗しないように準備して50%の力でも、いや30%の力でもやれるだけの準備をしていた。

コールの仕事も同じ、本番(お客様応対)に100%で対応したら負けるから30%以下で余裕でこなせる様に準備を整えているだけである。

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