第4話 関東地方と関西地方と沖縄のお客様の地域性

全国から電話を受けるコールセンターにいると面白いことにいくつも気付きがあるが、その中でも地域性と言うのは非常に面白い。

最も電話の多いのは人口が多い地域からの電話である。

最も多いエリア、東京含む首都圏しゅとけんの関東地方の電話は非常に多い。

次に多いのは、大阪を中心とした関西地方だろう。

逆に最も電話の掛かってくる回数が少ない県は沖縄県だと俺は思っている。

では、違いを見て行こう。

先ず、違いを知る為に同じ条件下でどの様な違いがあるかを見て欲しい。

条件は初期不良が同じお客様で連続2回発生しコールセンターへと電話されたとする。


関東エリア


「2回も初期不良で交換とかお前の所の製品は不良品ばっかりだな!!」

「申し訳ございません」

「申し訳ないでは済まないだろ?」

「はい、ご迷惑をお掛けしていることは十分理解しておりますので、先ずお客様のご要望をお聞きしたいのですが宜しいですか?」

「おう、いいぞ」

「ありがとうございます。それでは早速ですが、当方でお客様にご提案できるのは、返品をお受けして代金をご返却すること、再度、初期不良品を回収させて頂き商品を新たに送らせて頂くことかの何方かとなります」


返品になるか再度の商品交換となるかはお客様次第ではあるが、この話の内容から解るのは、ちゃんと謝罪し理解を示しお客様を立てると話をちゃんと聞いてくれる。

他の地域に比べプライドは高いが実利を優先するので提案自体すれば選択して大至急対応で納得いただける。

勿論、個人差はあるので全員とはいかないが、関東圏の方々はこのような流れになることが非常に多い。


関西エリア


「2回も不良品とかどう責任取るつもりや?」

「ご迷惑お掛けし申し訳ありません。ところで、責任とはどういう事を指されているのでしょうか?」

「使えない間の損した分を何かで補填してもらわんことには納得でけんのや!!」

「当方でお客様にご提案できるのは、返品をお受けして代金をご返却する、再度、初期不良品を回収させて頂き商品を新たに送らせて頂くかの何方かとなります。保証内容にもそのように記載ございますが具体的に何をお望みなのでしょうか?」

「そちらで判断して誠意を見せろ」


偏見ではなく関東と違い関西圏特に大阪含め近郊の方々はこのパターンが非常に多い。

京都と神戸はまた違うのでここでは割愛かつあいするが、損して得取れみたいな人が兎に角多い。

誠意ってなんぞ?保証書に初期不良とかの対応って書いてあるからよく見ろよと言いたい。

中には諸に「他の物品渡せ」「迷惑料払え」「上位モデルに交換しろ」等々直接強請られる方もいる。

こんな無茶な要求には「出来ません」と突っぱねるか、「え?それって強請られるってことですか?」と逆に聞き返して「そうだ」と言わせる。

まぁ殆どのお客様が「そうだ」と言わない。

「例えばだ」とか言って話を交わそうとするので、「出来ません」と言えばいい話である。

「解るだろ」的なことを言われることも多くその場合は「解りませんので具体的に言ってください」と言うと大体黙る。


沖縄


「また壊れてるみたいでさ~」

「大変申し訳ありません」

「いいさ~いいさ~代わりの物送って」

「了解いたしました。大至急送らせて頂きます」

「待ってるね~」


ウチナータイムって聞いたことないだろうか?

あれは初期不良にも適応されるようだ。

沖縄県の人、マジで怒っていいんだからね!!


地域性でここまで違うので非常に驚く。

俺の居るコールセンター不人気のエリアは京都と北陸・東北だろう。

何が嫌かというのは言わぬが花なのだろう。


「エースさんよく収ましたね~」

「え?収めるのが俺らの仕事」

「そうなんですけどね~普通めますよね?」

「え?揉めてただろ?」

「あれは揉めた内に入りませんよ」


机の上を見ると近くの席にいる上司が「エースさんこれもお願いしますね」と笑顔で大クレーム案件を俺にまた渡してくる。

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