モラトリアムの蜃気楼に揺れる消えない悲しみ

知的で幻想的な美しい物語でした。

ニヒルな「僕」がたどる性と心の遍歴。

肌を重ねた女の子たちに敬意と束の間の温もりを感じながらも、その顛末を冷静に観察する僕。

達観的で鋭い「僕」の考察に、ドキリとする読者の方もいるかもしれない。

失って辛いもの。それこそが本当の愛。

そんなどこか破滅的で危うい信念を持つ「僕」の19才には、今もきっと、消えない悲しみが、深い愛とともに揺蕩っている。

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