モラトリアムの蜃気楼に揺れる消えない悲しみ
- ★★★ Excellent!!!
知的で幻想的な美しい物語でした。
ニヒルな「僕」がたどる性と心の遍歴。
肌を重ねた女の子たちに敬意と束の間の温もりを感じながらも、その顛末を冷静に観察する僕。
達観的で鋭い「僕」の考察に、ドキリとする読者の方もいるかもしれない。
失って辛いもの。それこそが本当の愛。
そんなどこか破滅的で危うい信念を持つ「僕」の19才には、今もきっと、消えない悲しみが、深い愛とともに揺蕩っている。