心がひりひりするのです

美しくも不穏な情景と心情から始まる「僕」の物語。
シニカルで淡々とした語り口とは裏腹に、全体を通して漂う哀切。

上質な隠喩で綴られる、性に目覚め始めた10代の不安定な心と体。
言葉にすると全てが陳腐になってしまいそうな怖れを抱えて生きていた頃を思い出します。

理解を拒み刹那を生きた彼女と、僕の最初で最後の言葉。
心がひりつくような、それでいて甘く痺れるような福山ワールドを、是非味わってみてください。

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