『僕』の目線で語られる女性たちは皆、どこかアンニュイで、艶めかしく、鬱々としていて、不幸な自分に浸りながら心地良さを感じている気がします。そんな女性たちに触れて、離れて、を繰り返す『僕』のお話。
豊富な知識を元に各所に配置された先人たちの言葉や逸話が、この感傷に満ちた物語に小気味よいテンポを生み出しています(実は全てフィクションだということですが、実にそれらしく書かれていて違和感がありません! この辺りもぜひ楽しんでいただきたいです)。
関わる女性たちをどこか冷めた目で見つめる『僕』の世界を、更に外側から眺めてみませんか。
気付けば二周目に突入していたお話です。
お薦めします(^^)!
濃い。冒頭から濃い。
そしてシニカルで乾いた語り口。
女って……、こういう生き物なんだね。
性欲が走る、というより、女という生き物の不思議に呑まれるように、主人公は、幾人かの女性と、夜を過ごす。
そして、最後には、主人公にとって大切な女性が登場……。
大切?
なんと言ったら良い関係なんだろう。
友達?
恋人?
どちらもあてはまらない。
恋してる?
恋してない関係?
どちらも言いきれない。
でも、僕と、彼女は、運命の糸がひきよせたように、ベッドを共にし……。
人生は割り切れない、とどこかで耳にしたことがありますが、この主人公と彼女は、本当に割り切れない関係です。
そこに、哀切があり、純文学が成立します。(ふふふ、大きく言いすぎた?筆が滑っちゃった。純文学、イメージで言ってる。えへへ……。)
とにかく、大物、のショート。
分かりやすいキュンキュン恋愛を望む読者には、おすすめしません。
ここにしかない、複雑な男女の距離が描きだされています。
最後まで、かっくらうように、怒涛の勢いで、読むべし。