ED:3 芽生え

(鳥の囀り・春風で木々の揺れる音)


「(頭上で静かに話す串刺姫)まさか本当に爵位も財産も捨ててまでわたしの付き人になるなんて…(ほっとしたように)バカな子ね、おまえって本当に」


(髪を撫でられる音)


「(子どもに優しく聞かせるように)でもね、わたしは昔からバカな子ほど執着してしまう質だったの。イイ子を演じ続けているお姉様達が気に食わなかった事に起因しているのかもしれないわ」


(串刺姫の鼻歌の音)


「…これからどうするのか? フフ、どうしましょうか」


「(穏やかな声で話す串刺姫)帝国が世界最強と謳われて久しいけれど、周辺国家のパワーバランスや技術・インフラ・人間…あらゆる要素が絶えず変化している状況よ。何もせずただ傍観していれば、死刑台に跪かされる日もそう遠くはないでしょう」


(暫し串刺姫の鼻歌)


「(静かな囁き声)…それでもなお、1週間程度遊んでいるくらいの余裕はあるのよ。こう見えてわたし、抜かりない性格だから」


「(穏やかに話す串刺姫)? 最近拷問されてないし、している君を見ていない? そうなの。最近何故だか、誰かを痛めつけたり嬲ったりしたい衝動に駆られないのよ。おまえという最高のオモチャを見つけたからかしら♪ (囁き声)フフ、冗談よ」


「(どこか遠くの誰かへ向けて話す串刺姫)人って存外、容易に変わってしまえるものなのかもしれないわね♪」

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ASMR小話・矛盾 —最強の癒しと最強の毒舌— 溶くアメンドウ @47amygdala

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