ASMR小話・矛盾 —最強の癒しと最強の毒舌—
溶くアメンドウ
第1話 矛と盾を持つ姫
(鎖のぶつかり合う音と重い足音)
「(大きな女性の溜息)…はぁ、お前が次の
(串刺姫が元いた座へと戻っていく音)
「これも前もって聞いているとは思うけれど、私の実験に耐え切れる自信はあるのよね? (再び大きな溜息)…はぁ、聞いていないのね。じいやもとうとう暇の貰い時かしら?」
「(手を叩く音)さて、では私から説明をするわね。これから1週間、お前の全ては私のものとなりあらゆる手段を使ってお前の精神を壊すわ。それに耐える事が出来たなら…生涯使い切れない程の大金と領地・爵位を授けましょう」
(再び串刺姫の足音が近づいて来る)
「(突然抱きしめられ左耳に囁かれる)お前より前のモルモット達は皆、2日と持たずにあうあう呻き喘ぐだけの抜け殻になってしまったわ。そろそろ3日は遊べるオモチャが来てくれないと、折角の休暇も楽しめないし…(吐息混じりに)せいぜい足掻け! そして私の心の渇きを僅かにでも癒させろ…こほん」
(咳払いをして再び座はと戻っていく)
「(小刻みに鎖が擦れる音)そう怯える事はないわ。歯を一本ずつ交互に抜いたり、生爪をわざと汚く治るように剥がしたり、睾丸を魔法で増やしてから何個潰すまで意識を保てるかといった拷問は…2つ前のモルモットで一旦卒業したから。お前は私の全く新しいアプローチで責め苦を受けるの、フフッ」
「ん〜? (狂気を感じさせる笑い声)アハハハ! それはブラフで、希望を持たせておいて数多の拷問器具の並ぶ部屋に入れて絶望に染まる顔が見たいのだろう? って…。
フフ、虐げるという行為を理解しているのね、お前」
(再び目と鼻の先まで近づいて来る串刺姫)
「お前の未来は2つ。(昂った声で)私に心身を滅茶苦茶に壊されて可哀想な廃人になるか、(落ち着いた声で)私という試練を乗り越え…137人のモルモット達が成し得なかった栄光を手にするか」
(少しだけ串刺姫の声が遠ざかる)
「では早速…」
(紙が何枚か擦れる音とペンがインクを掬う水音)
「宣誓書、秘密保持契約への合意書、遺言書、新たに開発された魔法への一切の権利の放棄への同意書…これらの書類に署名と血判を。お前の控えもあるから早くなさい?」
「ん〜? …存外にしっかりした契約で驚いた? (小さな溜息)お前、もっと自分を大切にしなさい。複雑な取引を口約束だけで済ませてしまったら、後々大変な目に合うのよ? さ、面倒がらずに書面の内容を一言一句暗記する勢いで理解しなさい。解っている? これはお前の人生を賭けたゲームなのよ」
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